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棟広良隆が訊く!森秀行調教師の懐刀、淡路島エミオンステーブル特集!

棟広良隆:本日は、ステラリード’14を育成されているエミオンステーブルにお邪魔致しました。エミオンステーブルは開業したばかりの新しい育成牧場で、まだ詳しくはご存じでない会員の皆さまも多いかと思いますので、今回は根掘り葉掘りお伺いしていきたいと思います!よろしくお願い致します。

 
村上正幸:よろしくお願い致します。
 
棟広:まずは自己紹介をお願いできますか。
 
村上:エミオン・ステーブルの代表の村上正幸です。
 
棟広:ここにトレーニング・センターを造った経緯について教えていただけますか。


 
村上:栗東から2、3時間のところで便利がよく、雪も降らないし、雨も少ない。しかもあまり手を加えなくてもいい場所があったからですね。
 
棟広:坂路を造れる傾斜など、いろいろと考えてということですね。
 
村上:そうですね。栗東のほうだと、許可が簡単には下りないんですが、ここは比較的容易に許可を取ることができたのも大きいです。
 
棟広:周辺に市街地などがなかったらから、簡単に下りたのでしょうか。
 
村上:下の方には農家もありますが、この施設の家主がこの島で一番の企業の方で、尽力していただいて2、3か月でできたんです。
 
棟広:そういう許認可の問題があったわけですね。
 
村上:本州は北海道と違って許可が下りにくいですよね。1年待たされるといったことは当たり前なんです。
 
棟広:北海道などにくらべたら、基本的に競馬産業への理解が少ないですからね。
 
村上:チップを使うから、水の処理とかいろいろあるのでしょう。
 
棟広:人材の確保などは、やはりたいへんでしたか。
 
村上:もともと北海道でしておりましたので、それほど人材確保はたいへんではなかったです。
 
棟広:北海道からみなさん来られたのでしょうか。
 
村上:北海道から来た者もおりますし、こちらで採用した者もおります。
 
棟広:トレセンに近いことのメリットというと、やはり調整しやすいということですか。
 
村上:そうですね。競馬が終わって、トレセンに帰ってきてリフレッシュさせることになったらすぐに出すことが可能です。
 
棟広:馬運車で3時間ぐらいですか。
 
村上:馬運車だったら3時間です。
 
棟広:競馬場からのほうが近いですよね。
 
村上:いつも阪神に受け取りに行っています。競馬がある土日に栗東トレセンに入厩する馬を降ろして、その帰りに阪神競馬場に寄って、乗せて帰ってくるといったこともしています。
 
棟広:阪神からだったら1時間半ぐらいですか。
 
村上:そのくらいあれば充分です。
 
棟広:近いですね。やはり雪が降らないということは、メリットとしてありますよね。


 
村上:そうですね。
 
棟広:栗東近くは山の中だから、けっこう雪が降りますからね。
 
村上:寒いみたいですね。
 
棟広:グリーンウッド・トレーニングセンターに以前行ったとき、大雪でたいへんでしたからね。坂路を使えないという話になりましたから。
 
村上:夏も風が通るから、むこうみたいにムッとした感じではないです。
 
棟広:そういう意味では、馬の環境としてはいいでしょうね。
 
村上:みんな来るとなぜか「静かだ」と言いますけど、栗東近辺は牧場は静かじゃないんですか。(笑)
 
棟広:微妙ですよね。(笑)牧場近くはたしかに静かですね。トレセンはそんなに静かとは言えないですけど。
馬房の数はどのくらいありますか?
 
村上:70馬房です。馬房のサイズもだいぶ大きくしてあります。普通の厩舎の1.5倍にしています。


 
棟広:やはりそれは馬をリラックスさせるためですか。狭いところよりもいいというわけですね。
 
村上:そうですね。よく「馬は広いところのほうが汚さない」という話がありますが、あれは嘘です(笑)汚すのはいっしょですね。(笑)1.5倍の手間はかかる。(笑)
 
棟広:あとはどのような設備がありますか?
 
村上:8頭のウォーキング・マシン3台とプール。





坂路も25センチ以上入れているので、負荷はすごいですよ。栗東よりは2秒ぐらい遅い。だからここで時計を出しておくと、森厩舎所属馬をご覧いただいたら分かりますが、時計はバンバン出ますよ。(笑)こっちのほうが2秒は遅いので、53秒が出たら、51秒は必ず出る。


 
棟広:こっちでも森厩舎の馬は坂路でけっこう負荷をかけるんですか。
 
村上:週2回は追い切りをかけて(トレセンに)入れますね。
 
棟広:「外厩では言うほどやらないで、15-15にちょっと」というようなところが……。
 
村上:いや、めっちゃやりますよ。
 
棟広:やっぱり森厩舎だけはめっちゃやるんですね。
 
村上:(近くにいる)この馬だって52秒とか。(笑)
 
棟広:52秒出ているんですか。
 
村上:51秒とか。そうなるとトレセンに入ると50秒とか叩きだしますよ。
 
棟広:そこまで仕上げてというのは、もう入ってすぐ使うタイプの感じですね。
 
村上:52秒出してもうちではまだトレセンには持っていかないですけどね。
 
棟広:それでもその時計がもう出ているんですね。
 
村上:出します。なので、栗東に行って次の次の日とかに時計を出している。(笑)2日後ぐらいに。
 
棟広:坂路は1,100メートルですね。

 

村上:そうですね。ゲートも3台みっちりあって、(トレセンのゲート試験も)一発で受かるようにしています。1週間で受かりますね。
 


棟広:周回コースというのは、基本的にはないんですか。
 
村上:それはなくて、角馬場でキャンターをかけています。


 
棟広:角馬場だけでキャンターですね。
やはり目玉と言ったら坂路になるわけですね。
 
村上:そうですね。
 
棟広:傾斜的には3.5がずっと続いているような感じですか。
 
村上:そうです。そこから6か6.5。
 
棟広:それで止め際がちょっと上がっているような感じですね。
栗東の坂路と傾斜が似ていますよね。3.5で、ここから6というのは、ほとんどいっしょですよね。栗東の方がちょっとテンがゆるいですかね。
 
村上:ここではもうスタートからすぐ勾配が付いてますからね。


 
棟広:そういう意味では、こちらのほうがきついと言えばきついかもしれませんね。
いまで3年目になるんですか。
 
村上:そうです。
坂路について付け加えると栗東は雨が降ったら馬場が重くなるじゃないですか。ここは雨が降ったら締まるんですよね。それはチップを深くしているからなんですが、ダートコースのようにちょっと時計が速くなります。


 
棟広:いまは何頭ぐらいいるんですか。
 
村上:58頭ですね。
 
棟広:村上さんは普段どんな仕事をしているんですか。
 
村上:調教を見たり……。
 
棟広:調教を見て、全体の監督みたいなかたちですね。
 
村上:それと雑用だね。(笑)
 
棟広:たしかに雑用になっちゃうんですよね。(笑)
 
村上:ほぼ雑用。(笑)
 
棟広:お休みはどうしているんですか。このあたりだと何もないんじゃないですか。
 
村上:あちこち行きますよ。四国とか。
 
棟広:四国のほうが近いですものね。淡路島におもしろいスポットはありますか?
 
村上:あまりパッとしない観光施設はあります(笑)。でも、橋代が安くなったからか知らないですが、土日とか連休は人がすごいですよ。ホテルは絶対にとれないですし。

棟広:私も今日はもう少し橋代がかかるかなと思ったら、意外に安いなと思いました。
 
村上:意外にも観光施設がいっぱいあって、連休とか土日はすごい人です。車は渋滞しますね。あの海水浴場(阿万海岸海水浴場)だって、人がすごいですからね。夏になったら、ぜんぜん車が動けないぐらいです。海がきれいだから、魚はすごい釣れますよ。なんでも釣れます。


 
棟広:自然なレジャーはあるというわけですね。
 
村上:魚は海を見たら分かりますがうじゃうじゃいますからね。
 
棟広:かしこまりました。話は育成のお話に戻りますが、時期ごとの調教メニューを教えてください
 
村上:早いうちは角馬場を使ったり坂路とか両方使ってやって、最後のほうは坂路だけです。あとは週2回ウォーキングをしています。入厩したらゲート試験を受けたらいったん帰してもらってまた坂路で鍛えていくといった流れが多いですね。

棟広:栗東並みの坂路を育成から施すことによって、どのようないいことがありますでしょうか。
 
村上:早く使えることですね。
 
棟広:たしかに、早くから進められるということはあるかもしれませんね。近年は、以前にも増して森厩舎の馬がデビュー前の2歳馬とは思えない坂路の時計を叩きだしてますしね。この育成場の影響は大きいかもしれませんね。
ここからはステラリードの仔のことについて教えてください。
 
村上:やわらかいし、俊敏ですし、いいですよ。


 
棟広:性格はやっぱりきつい。
 
村上:そうですね、お母さんと同じですね。(笑)
 
棟広:調教を嫌がるようなことはないですか。
 
村上:それはないですね。止まったりとか走るのをやめたりとか、そんなことはないです。
 
棟広:とくに変な癖もないという感じですか。口向きとか。
 
村上:はい、問題ありません。
 
棟広:いまのところ脚元なども問題ないですか。
 
村上:大丈夫です。

棟広:ステラリード’14を担当されていた方は小野さんとおっしゃるそうですが、小野さんはお母さんにも乗られていたと言っていて、お母さんとは乗り心地、感触が違うとおっしゃっていました。
 
村上:どちらかというと、お母さんはあまりやわらかくはなかった。
 
棟広:たしかにそうですね。やわらかみがあるんですか。
 
村上:いまの子はやわらかいです。
 
棟広:その意味では芝でもいいのかもしれないですね。
 
村上:お母さんはスラっとしていた。「とりあえず早く仕上げて使って……」みたいな。仕上がりの早さで勝てましたね。
 
棟広:仕上がりは早かったですね、こちらもそんなに手間がかかりそうな感じはなさそうですが、どうでしょうか。
 
村上:あまり大きくはないですから、仕上がりは早いと思います。
 
棟広:逆に言えば、早期デビュー狙いというのは、お母さんと同じでいけますよね。
 
村上:調教の進み具合は他の牧場に比べても早いほうではないでしょうか。お母さん同様に短距離の芝でも走ってくれるといいですね。


 
棟広:順調に行った場合の今後の育成スケジュールを教えてください。
 
村上:いまは30ぐらいのゆっくりしたタイムですが、これからは18から20くらいまでは早めていきますよ。
 
棟広:年が明けてから徐々に上げていくようなかたちですか。
 
村上:年内に20ぐらいは持っていくつもりです。
 
棟広:馬房の問題はあるかと思いますが、2歳馬のゼッケン番号1番をとりに行きたいですね。
 
村上:今年は確か森厩舎の馬が一番だったと思いますよ。期待したいですね。
 
棟広:森秀行調教師からお願いされていることはないですかね。
 
村上:私も調教師とは長いですから(笑)今は育成方針なども共有できていますからね。よく見に来られますよ。
 
棟広:最後に会員の皆さまに一言お願いします。
 
村上:はい。森厩舎所縁のステラリードの仔ですし、このエミオンステーブル自慢の坂路でがんばって仕上げて、早くデビューできるように頑張ります。
 
棟広:早めにデビューできるというのは、本当に頼もしいですね。
 
村上:簡単なことはありませんが、頑張ります。
 
棟広:はい、よろしくお願いします。本日はありがとうございました。
 


[満口直前]ステラリード'14 牝(父:シンボリクリスエス 母父:スペシャルウィーク)
募集価格:2,200万円 一口価格:55,000円 募集口数:400口