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竹内啓安氏によるグランデファーム衣斐代表インタビュー【血統編】



竹内啓安氏によるグランデファーム衣斐代表インタビュー【育成方針編】からの続きです。

竹内氏:
衣斐さんから見てこのマジェスティックブライト2014の配合はどう映りますか?

衣斐代表正直、とてもいいですよ。私の理論にも適っています。まずはHaloのインブリードが目立っていますけど、息子と娘を介してのインブリードになっているのが良いですね。

竹内氏:やはり、インブリードの形にはこだわるというか、区別されているんですね。私も息子×息子のインブリードと息子×娘のインブリードと娘×娘のインブリードは全く別物だと捉えているんですよ。たとえばオルフェーヴルってノーザンテーストの4×3が効果的だったと言う人が多いんですけど、あれは娘×娘だった事がかなり大きな影響を与えていると思うんです。

衣斐代表同感ですね。娘×娘のインブリードからLady Angelaが4本になることがポイントだと思います。インブリードの形に注目しないといけませんね。この息子と娘のHaloクロスは好結果を生みやすいですよ。

竹内氏:この馬の母には娘×娘の形でBustinoの4×3が入ってるんですよね。

衣斐代表本当ですね。これは面白いですね。BustinoはSweet Lavenderと同じ牝系ですからね。Aloeも持ってます。ディープインパクトも持ってる血統ですからね。薔薇一族なんかもそうですし成長力ある血統ですね。

竹内氏:いま衣斐さんがおっしゃられた「Bustino はSweet Lavender と同じ牝系」というのはキーだと思うんですよ。結局、Turn-toのLavendulaもそうですよね。この顔合わせ、つまりRose Red×Sweet Lavenderの牝系クロスが強い馬を作る一つのパターンになっていると感じるんですよね。

衣斐代表この馬にもSweet Lavender×Rose Redのクロスは8×8・8としっかり組み込まれていますよ。この2頭の顔合わせは8代前だろうと影響力は絶大ですからね。あのディープインパクトにも7×7・7で組み込まれていましたしね。しかもWild Risk7×8を持っていますよね。サンデーサイレンス系の大物にはWild Risk のクロスを持っている馬が多くいます。Wild Risk7×8は効果的だと思いますよ。それに、Tudor Minstrel7×8なんかも持っていてバランスが良いですね。Tudor Minstrelはとても大事な血統ですよ。

竹内氏:僕もそう思います。Tudor MinstrelってHyperion×Son-in-LowLady Josephineが入るじゃないですか、この3者の組み合わせを繰り返すことによっても大物って数多く産まれていますよね。


衣斐代表おっしゃられる通りですね。名牝系ですしね。昨年の英国ダービー馬Golden Hornや7戦無敗の凱旋門賞馬ザルカヴァZarkavaなんかもLady Josephine系ですし、日本でも、それこそ小崎さんのところのスマートファルコンもそうですし、ダービーを勝ったタニノギムレット、古くはカネミノブ、ミホシンザンなんかもLady Josephine系ですね。Lady Josephineの母Americus Girlの血統表を見るとNorfolk=The Nunの全兄妹クロスなんかがあってこれまたまた面白いんですよね。

竹内氏:先ほどのオルフェーヴルの話に戻ってしまいますが、オルフェーヴルというとステイゴールド×メジロマックイーンの黄金配合が有名ですけど、僕はあの配合ってTurn-to×My BabuのSweet Lavenderクロスが影響しているんじゃないのかと思うんですよ。だから、別にステイゴールド×メジロマックイーンじゃなくても成立するんですよね。トウカイテイオー×リアルシャダイのトウカイポイントとか、マンハッタンカフェ×メジロマックイーンのラブイズブーシェ、ハーツクライ×トウカイテイオーのオツウとかね。メジロマックイーンの肌に付けられるサンデーサイレンス系の種馬はステイゴールドくらいしか当時はいなかったというだけでね。

衣斐代表血統というのは父と母父だけで決定されるわけではないですからね。全体像を見なくてはいけないと思います。このマジェスティックブライト2014はしっかり異系血統も取り込んでいるところが良いですね。BustinoKlaironを入れてる。



竹内氏:マジェスティックブライトはルカ・クマーニ調教師(ジャパンカップ2勝他名伯楽)のところにいたのですが、ルカ・クマーニ調教師がこのBustino 4×3のインブリードを見て「晩生タイプ」と判断されたそうです。そしてルカ・クマーニ調教師がゆっくり仕上げていく方針を打ち出したらオーナーサイドと意見が食い違ってしまい、アイルランドに転厩となって早めに使われてしまったようです。勿体無いですよね。

衣斐代表この子の代になったらこのBustino 4×3が活きてきますよ。これは大事な事ですが、この馬って母にBustino 4×3が組み込まれていて、自身はHaloのクロスですよね。こういうバランスの馬は走るんですよ。この感覚は大事なんですよ。走るパターンのデザインですよ。勝つ馬や凱旋門賞で勝ち負けするような馬には共通点があるんです。それを私は「チャンピオン配合」と呼んでいて雑誌やWEBで公表しています。先日も「ハイクォリティー・アメリカ血統(以下、HQアメリカ血統)」という理論を寄稿しました。長年にわたって研究した成果を皆様に伝えるのが使命だと思ってるんですよ。その私の理論にもこの配合は適ってます


チャンピオン配合に関する記事が掲載されているエンターブレイン社のサラBlood Vol.3



竹内氏:マジェスティックブライトはNorthern Dancer、Halo、Raise the Standardのいとこ3者が顔を合わせているんですよね。この状態でHaloのクロスを与えているというのがとても面白いと思うんですよ。サトノダイヤモンドなんかは更に究極的にやっていますけど爆発力ありますよね。

衣斐代表サトノダイヤモンドはHalo3本ですし、Haloのインブリードはとても旬ですよね。Haloも「HQアメリカ血統」なんですよ。MachiavellianのAlmahmoudクロスを継続しているのも好感持てますし、先ほど言ったようにBustinoやKlaironが入るのもバランスが取れていてよいですね。やはりアメリカ血統だけというのも良くないんですよ。欧州血統や異系の血が組み込まれていないと血の活性化が起きないので本当に強い馬は出てこないですよね。

竹内氏:サトノダイヤモンドもアルゼンチン血統が入ってますしね。

衣斐代表そうなんです。クロスだけでは不完全なんです。「効果的なクロスと異系血統」これがとても大事だと思います。

竹内氏:オルフェーヴルにしろディープインパクトにしろナリタブライアンにしろやはり異系の血が入っていますもんね。ちゃんと抜けさせている感じがありますよね。

衣斐代表そうです。昔の日本にもフィダルゴだとかネプチューネスだとかラヴァンダンだとかトンピオンだとか凄い血なんですよ本当は。使い方なんです。主流にばかり目が行ってしまうのは良くないですよね。でも、この馬は「HQ・アメリカ血統」に該当する馬が豊富に入っていますから本当に楽しみですよ。

竹内氏:私も配合をするときやセリ馬を購入アドバイスするときに「Bull Dog 、Blue Larkspur、Man o'War」のアメリカ血統を重ねている馬を高評価するのですが、例えばエンパイアメーカーなんかは究極に重ねられていますよね。

衣斐代表そうなんです。でもしっかり欧州血統も入れてるんですよ。そこがポイントだと思います。

竹内氏:確かに。Pioneerof the NileなんかはBrigadier Gerardが入ってきますしね。そこからまたアメリカ血統を取り込んで三冠馬American Pharoahを作るという。なるほど。

衣斐代表クロスも大事なんですけど、やっぱり異系の血が必要なんです。その土地で育った血統というのを上手に使わないといけないと思うんですよ。日本で培われたシラオキの血統にアメリカ血統のマルゼンスキーが加わってアルゼンチン血統を持つサンデーサイレンスが入ったからスペシャルウィークが産まれるんですね。サトノダイヤモンドも同じですよね。面白いもので、同じ系統でも例えばフランスで育ったNasrullah系のカラムーンの系統って全く違うでしょ?同じHyperion×Son-in-Lowでもアルゼンチンで育ったMountain Flower(サンデーサイレンスの祖母)では違うでしょ?そういう血を上手に活用するのが大事だと思います。

竹内氏:クロスを作りながらも異系の血を活用して常に活性化させることが大事という事ですね。

衣斐代表そうですね。この馬はそれができていますからね。血統表というのは見れば見るほど発見があって面白いんですよね。こうやってこの馬の血統表を眺めていると色んなことに気が付きますよ。この馬はBarley Cornの牝馬クロスも持ってますよ。Barley Cornはフランス血統でとても大事な血統ですよ。

竹内氏メジロマックイーンにも入ってる血統ですよね(メジロティターンの祖祖母、メジロライアンの4代母)。メジロ牧場に大きな影響を与えている血統ですよね。

衣斐代表影響力のとてもある血統なんですよ。Pivotalが入ることによってBarley Cornを5×7でクロスさせてるのは面白いですよ。なかなかいないですよこのクロスを持っている馬は。

竹内氏:やはり配合というのはサラブレッドの設計図ですからとても大事ですよね。どんなに形のいいスポーツカーでもエンジンの設計図が良くなかったら速く走ることはできないですし壊れてしまいますよね。

衣斐代表Nearcoがどうやって作られたのかとかHyperionはどういうコンセプトで作られたとかを発見していくというのが大事なんですよね。それを把握していくと次につながるんですよね。

竹内氏:先人たちが作られた傑作を理解していかないといけないですよね。テシオはなんでこの配合をしたのか?ダービー卿がこだわったインブリードの形は?とかブサックの配合手法は?という事を勉強していってそれを現代の血統に置き換えて活かしていくのが大事ですよね。それが血統を勉強する意味ですよね。

衣斐代表大事ですよね。こうやって血統や配合の話をしてると止まらなくなってしまいますね。

竹内氏:僕もこんなに話せる人がいないから衣斐さんと話すと楽しいですし、スカッとします。このマジェスティックブライト2014は本来ならヴィクトワールピサの3/4同血馬というのが最もキャッチーなセールスポイントなんですが、もっと深いところでこの馬の魅力を語れたのが楽しかったです。今後ともよろしくお願いいたします。

衣斐代表:こちらこそ竹内さんみたいな詳しい方と対談できて楽しかったです。よろしくお願いします。とても楽しみにしています。

竹内氏:今日はありがとうございました。


マジェスティックブライト'14 牝(父:ネオユニヴァース 母父:Pivotal)
一口価格:7,000円(新規入会者なら馬代金0円!一般会費700円から)
募集口数:2,000口




グランデファーム衣斐代表による血統理論は競馬通信社のコラムで無料で見られます。
【チャンピオン配合】・・・「チャンピオンの配合条件」、「サドラーズウェルズの持つチャンピオン配合
【HQアメリカ血統】・・・「サウンドスカイの配合と、ハイクオリティ・アメリカ血統の存在



竹内啓安氏によるマジェスティックブライト'14の血統診断はこちら(画像は衣斐代表オリジナル血統ソフトより出力)