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水野由加里と棟広良隆の広尾っ仔REVIEW Vol.14



水野:
さて、広尾っ仔REVIEWを始めていきましょう!まずは、エルカミーノレアルからです。5月15日京都1000万下芝1200mの競走でしたが、二桁着順が続いて、その敗因が何かも見ているだけでは掴めなくて……。

棟広:この馬の場合は、1200の距離であれば、ロスの無い競馬で直線で脚を使うのが好走のパターンになっているので、まず外枠を引いている時点で、ちょっと不利なんですよね。
好走していたときを見ると、内目の枠を引いて、直線で脚を使って安定した成績を残していました。そういった意味では、ちょっと条件が必要、条件付きという馬になっていますね。ですから、次は夏の小倉が目標とのことですが、内枠がほしいところですね。

水野:馬場適性は問題ないですか。

棟広:小倉で時計が速くなっても馬場適性は問題ないので、小倉の時計の速い馬場であれば、いままで以上に内枠がほしいです。
内枠に入れば馬券的にも勝負していいと思いますよ。巻き返してくると思います。二桁着順を2走続けているから次はそれほど人気が無いと思うので、内枠に入ったら馬券も勝負していいと思います。



水野:次はジョーヌドールです。最後の走りになったのが5月12日、新潟の4歳以上500万下の芝の1400メートル。これは久々の芝でもありましたが……。

棟広:やはり前半からかなり追走に手こずるかたちで、お終いに伸びてはいますが、それでも1.3秒差の13着というのは、次につながる内容ではなかったかなと思います。

水野:これがラストランとなりました。

棟広:長く走ってはくれましたが、もう一歩でしたね。会員の皆様からの期待も高かっただけに残念ではありますが、お疲れさまでした。



水野:次にシャトルアップです。5月22日の韋駄天ステークス、4歳以上のオープンの1戦です。新潟の直線でした。良馬場で臨んだのですが11着と、なかなか良い結果が出せていません。それと、その前の駿風ステークスと同じ勝ち馬に今回もやられたという……。

棟広:そうですね。こちらは格上調整でハンデの斤量をもらってのかたちでした。これはオープン特別でしたが、自分の適鞍の準オープンクラスでも、このクラスに入るとどうしても、テンのスピードは通用しても持続力は頭打ちかなと思うので、お終いを活かす競馬で少しでも着順を上げる、賞金を獲る乗り方をしてほしいと思いますね。

水野:二桁着順でしたが、タイムを詰められたり、プリンセスムーンとの着差はグッと詰められたりしているのは良い点として見られるのかなと思いましたが……。

棟広:それは大きな斤量差があったからということが、やはりあると思うんですね。
このあと、もちろん新潟に出てくるんでしょう。

水野:8月27日の芝1000メートルを予定しています。

棟広:準オープンですね。
そこで少しでも着順を上げての賞金ゲットに期待したいと思います。
一番の理想は、田辺裕信騎手が4着に持ってきたときの乗り方。テンからのスピードがある馬ですが、あれは差す競馬をしたんですよ。その競馬をしてほしいです。



水野:次にマカハです。まずは5月22日、東京でフリーウェイステークス1600万下のレースで4着でした。これは芝の1400で十八番の距離ですが、鞍上からは「7番という内目の枠がちょっとうまくいかなかった」というコメントが出ていました。

棟広:内目の枠だったので、揉まれるのを嫌って最後方まで下げたんです。そのロスのことを言っていると思います。

水野:そうですね。ポンとは出たんですけどね。

棟広:でも4着とは言っても、2着馬からは離されていますが、3着馬とはハナ差ですし、よく走っていますよ。メンバー中でダントツの最速の上がりを使っていますしね。本当によく走っているなと思います。

水野:続く6月12日は東京多摩川ステークス1600万下で、こちらは1ハロン延びて1600メートル戦でしたが、やはり1600より1400のほうがいいんだなという走りでしたよね。

棟広:それもありますし、このレースはメンバーのレベルが非常に高かったです。ハンデ戦で斤量差はたしかにありましたが、それでも1着のヤングマンパワーは重賞勝ちの馬ですからね。ベルキャニオンもオープンを勝っているし、アンタラジーという馬もそうですが、1、2、3着馬は全部が降級馬なんですよ。ちょっとメンバーが強かったと思います。その1、2、3着の降級馬をはずせば、4着馬からは0.2秒差しか負けていないんです。
たしかに1400のほうがいいと思いますが、1600でも戦えているなと思いますよ。

水野:そうですね。それとこのレースは直線に向いてから、かなり横にドバッと各馬が拡がったので、大外に出すのに脚を使ったなという印象があります。

棟広:そうですね。外から追い込むのがこの馬のかたちなので、そのあたりのロスは仕方がないところなんですよね。
1400のほうが切れる脚を使えますが、この7着というのは、着順ほどの内容の悪さは感じませんでした。

水野:マカハは1600万下がなんと18戦目だったんです。すごいなと思いますよね。

棟広:すごいですよ。獲得賞金が1億4,000万。すごい馬ですよ。



水野:次がゼロカラノキセキです。まずは5月28日、東京です。未勝利戦のダートの1600メートルで、稍重の馬場でした。これが0.1秒差という、差の無い4着の結果でした。走破タイムと、前回最速だった上がりも時計を詰めてきて、今回も上がりは最速だったんですけれども……。

棟広:ジョッキーはレース前から、「前のレースで2着に来たときのできが無い」みたいなコメントを言っていますが、たしかに4着とは言え、それでもハナ差の4着ですから、内容はけっして悪くないですよね。

水野:前残りでしたしね。

棟広:そのとおりです。上3頭は、行った、行った、行ったの展開だったので、そう考えると、7番手から差し込んで来ているのはこの馬1頭だけなんです。それで0.1秒差4着という内容は、負けてはいますが、まったく悲観する内容ではなかったと思います。

水野:そうですね。そしておよそ2か月後の7月23日の福島です。未勝利戦のダート1700メートル戦に出て、アタマ差の2着。これは大外枠で出遅れでしたね。

棟広:たしかに大外枠で出遅れたことももちろんありますが、東京の長い直線でジリジリと差を詰める競馬をしていたので、私は小回りの福島へのコース変わりというのが、かなり気になりました。ですから、スタートで後手を踏んだこともありましたが、道中を見ていても、けっこうロスはありましたよね。でも、それは仕方がなかったと思うんです。
むしろ相手は蛯名正義さんの一番人気の馬かと思っていたんですが、その馬は見事にかわしてくれたんですけど、その外からもう1頭に――これはまあ、ちょっとね……。

水野:後ろに着いて、ピタッとでもないですがマークされていたヴァタルサイビーチに捉えられたというのが、くやしいところでしたけど……。

棟広:小回りコースなので、前半からの流れが速くなりがちなんです。ですから、普通だったら前をかわしたときに押し切れるところを、さらに後ろから差されるというのは、これはもう展開のあやですね。これは勝利が見えている馬だと思います。
次は新潟の1800ということですが、問題は、新潟の重い砂質だと思います。距離が単純に100メートル延びるだけではなく砂質も重くなるので、単純に100メートルだけの距離延長ではなく、それ以上の距離負担がある。そこをこなせるかというのがポイントになると思います。

水野:この馬は1600ぐらいだろうと以前おっしゃっていましたが、100メートル延びる以上に、1800という距離はどうでしょうか。

棟広:やはり100メートル+砂質の重さ。そこはやってみないとわからないですね。



水野:新潟に期待です。
次がレトロクラシックです。6月4日、6月26日、7月23日と3走していまして、7着、1着、8着という結果です。まず6月4日は東京の国分寺特別500万下、この一戦が復帰戦でした。9か月ぶりの一戦でしたが、この日はすごくオシャレしていましたよね!

棟広:編み込みですね。

水野:そう! 青いぼんぼりを付けて、尻尾もきれいに編んでもらって……。

棟広:厩務員さんが女の人なんですが、それでちょっとオシャレをして。

水野:すごいオシャレしていたのに、次の一戦で勝ったときぜんぜん無かったので、「あれっ、なんで?」と思ったんですけど。(笑)復帰だからかなと……。



棟広:あの日は、厩務員が違ったんです。

水野:確かにパドックで連れて行る人が違いました。なるほど。

棟広:7月23日は女性の厩務員だから、また編み込みをしていました。

水野:そう、その日引いているのは女の人でした。次が男性だったかどうか憶えていませんが、勝った日はぜんぜん違うのに、復帰戦だから勢いなのかなと思って。ちょっとそこが気になっていたんです。
でも最後の脚が無かったとは言え、9か月ぶりにしては上々のレースの乗り方というか。

棟広:そうですよね。スタートはポンと出て、流れに乗れましたし。やはり先行力を活かして渋太さを活かすというのが、この馬のかたちかなというように見えてきていますね。
最後は休み明けということと、ちょっと切れ負けしたかたちになりましたが、たしかに着順は7着とは言え、着差は0.8秒差、内容的には悪くなかったと思います。次につながる内容だったと思います。

水野:そうですね。またそのつながった次の6月26日の東京で1800メートル、1ハロン延ばして復帰一叩き目のレースでしたが、ここはすごい大接戦でしたね。

棟広:まず行く馬がいなくて、主張していないのにハナが切れたという展開の利は大きかったと思いますし、ハナまで行った石川裕紀騎手の好判断もあったと思います。あとは相手関係的にも、レトロクラシックだけではなくて、瞬発力に自信のある馬が少なかったので、前半で前目に行った先行力を活かしての押し切り。中間に少しアクシデントがあったのを気にしていたんですが、それも杞憂に終わって、うれしい勝利でしたね。

水野:直線は2着のアンプラグドと、差し返されたと思ったら差し返して、また差してという……。

棟広:渋太い面がありますよね。

水野:あれは結果が出るまでぜんぜんわかりませんでした。写真判定はドキドキしましたが、ハナ差で凌ぎきってくれまして、1着となりました。
次が7月23日です。福島に舞台を移していわき特別1000万下です。芝の1800メートル戦。これは1秒6差の8着と、ちょっと洗礼を受けたかたちです。仕切り直しの1000万下だったんですが……。

棟広:そうですね。前走で勝利しましたけれども、中間にちょっとしたアクシデントがあってのものだったので、昇級で叩き3走目ですが、状態面の上積みはまだあると思っていました。先行力を活かしての粘り込みということから言っても、東京から小回りコースに変わるのはプラス材料だと思っていたし、東京の軽い芝から福島の重い芝に変わるのも好感が持てました。しかも今回はゲート1番枠を引いて、これは昇級戦でも条件がけっこう揃ったと思いましたが――痛恨の出遅れですよね。

水野:最後方でしたね。

棟広:これはちょっと考えていませんでした。スッとゲートを出て先行力を活かすのが持ち味の馬がゲートで出遅れてしまうと、もうどうしようもないですね。1000メートル通過が61秒台でペースも落ち着いてしまった。本当ならそのペースを前目で、展開の利を受けないといけないところをゲートで出遅れというのは、ちょっと無いですね。
4コーナーでもブレーキを踏むシーンがあって、今回は競馬にならなかったと思います。

水野:次が札幌を予定している――考えているぐらいでしょうか。

棟広:いいと思いますね。ワールドオールスタージョッキーズ・シリーズの日に出る予定と聞いています。

水野:最終週の1週前ですね。8月27日、28日です。札幌は合いそうですか。

棟広:重い芝は合うと思います。



水野:期待しましょう!続いてそのレトロクラシックのお姉さんのゴッドフロアーです印象が強いのは障害競走でした。まず初の障害となった6月18日の東京の3000メートルの障害で、いきなり0.4秒差の3着です。正味4日間の練習で試験クリアになったということですが、初戦を見た感じでは障害は最初はそんなにうまくないんじゃないかと思ったんですよね。(笑)

棟広:実際にこの障害のデビュー戦になったレースは、けっこうレース・レベルが高かったんです。メンバーが揃っているレースだと思っていましたが、そこで馬券圏内に食い込む3着というのは、ぼくは正直けっこうセンスあるなと思いました。

水野:ただ、飛越はおっかなびっくりだし、飛ぶたびに遅れてという感じがするし。(笑)平地になってからの脚だけでこの着まで来たなという感じではあったんですが……。ジョッキーも見込んでいるというお話ですね。

棟広:そうですね。西谷誠騎手が、この馬の障害センスを買ってくれているみたいです。西谷騎手といったら、障害でいくつもG1を勝っているジョッキーです。G1馬の背中を知っている西谷ジョッキーが買ってくれているというのは、心強いですよね。
障害の距離になっても、前半は置かれて追い込み一辺倒という競馬になってしまいますが、それだけに、西谷ジョッキーもコメントしているように、たとえばいまの中京だったら、直線は長いですが、直線に置き障害という障害が二つあったりするんです。そういうところは合わないですね。



水野:せっかく脚を伸ばせる直線でストップをかけられてしまいますものね。

棟広: 2戦目の福島は、1回東京で叩いて、しかもメンバー・レベルは東京のときよりも弱くなっていると思ったんです。ただし、やはり直線の長い東京から小回りの福島に変わるのは大きな心配でした。それが嫌な方向で的中してしまった。自身は力を出しているんですが、前を捉えきることができなかった。
ただし、2戦連続で同じレースをして好走してくれていますから、初戦がフロックじゃなかったことも証明できましたし、これからが楽しみですよね。

水野:そうですね。2戦目は、レース中の位置どりも、最後方ではなく、中段より少し後ろぐらいのところで行けたのですが……。

棟広:ちょっとは良化していますよね。

水野:障害もうまくなったなと思いました。1走目は、飛んだあと「ビクン!」という躓きみたいなものがあったので心配していましたが、2走目はそれもスムーズになっていました。1着のララオムドゥクーが前で競馬をして、それと同じ末脚の速さではちょっと足りませんでしたが、思わぬ障害の才能を騎手に見出していただいて……。

棟広:これはちょっとうれしいですね。

水野:大障害の話もコメントに出ていたので、そんな大きなところを目指してくださっているんだと思って……。

棟広:スタミナは文句ないと思うので、同じ障害でも距離が長くなる重賞競走のほうが面白いかなと思います。



水野:楽しみですね。次に出てきたら、もっとうまくなっているのかなというのも楽しみです。(笑)
そしてデストリーライズです。7月2日、函館の3歳500万下でダートの1700メートル戦。稍重の馬場が懸念されましたが、10着。しかも3秒も差があったということで、また道中で落鉄もあったという……。

棟広:天気予報ではなんとかもつかなと思ったのですが、早くに雨が降り出して……。ただ、稍重の馬場というのは嫌ですが、それでも、私はもっと走らないといけない馬やなと思っていたんです。でも、あとから見たら落鉄とかもあって、それはちょっと不運だったかなと思いますね。
普通にパサパサの重いダートでの差し込みだったらこのクラスでも通用するものがあるので、また交流とこの凡走を挟んで、馬券的にもおいしい存在になっているんじゃないですか。
現在は放牧中で笹針治療をして硬さをとっているところですね。秋になりそうですかね。間に合えば札幌の最終といったところでしょうか。



水野:最後にハナズレジェンドです。7月24日の中京の未勝利戦、芝の1600メートル、ようやく勝ってくれました。

棟広:そうですね。初戦がひどい道悪、2戦目がコースどりによるロスの大きさ、3戦目が落馬の被害を受けたためのロスと、本当に不運でしたよね。今回は何の不利も無く競馬ができて1着というのは、本当に順当勝ちだったと思います。

水野:余裕のある勝ちっぷりでしたね。

棟広:そうですね。前の距離は少し短いかなと思っていて、直線が充分に長い中京で、しかも重く、最終周で力のいる馬場も向いていたと思うので、その意味では今回は落とせない一戦だと思ったのですが、期待どおりの勝ちっぷりを見せてくれました。

水野:本当であればもっと早くに勝って、少し休んでと思っていたんですが。

棟広:今回の勝ちっぷりなら、次も連勝を狙える。狙っていいと思います。ただし問題は、これまでずっと重い芝しか走っていないので、京都や東京のように瞬発力を要求される馬場に出てきたとき、それに対応できるかどうかは大きなポイントになると思います。
次が札幌か小倉という話なので、私は馬場的には札幌のほうが合うかなと思いますね。



水野:以上となります。楽しみな馬が出てきたり、2歳馬も入厩する馬が出てきていますから次も勝利をお届けできればと思います!ありがとうございました!

棟広:こちらこそありがとうございました。