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松永幹夫調教師、ウェディングソング入厩直前インタビュー


堀閏(以下、堀):
おはようございます。本日はよろしくお願いいたします。
暑いですね。馬はへばってないですか。

松永幹夫調教師(以下、松永):おはようございます。馬はエアコンガンガンですので大丈夫ですよ。笑



堀:それは何よりです。笑
さて、本日は広尾の広報アドバイザーをしている棟広さんとともにお話をお伺いしたいと思います。棟広さんは先生の騎手時代からの大ファンだそうです。

棟広良隆(以下、棟広):私はイソノルーブルの次の年から競馬を見始めたのですが、先生は当時から一線級でしたから注目してました。92年からです。西ノ宮でしたので仁川によくいきました。

私が一番印象深かったのが、もちろんヘヴンリーロマンス(第132回天皇賞(秋)優勝馬。競走後にスタンドで観戦する天皇・皇后に向かい、松永がヘルメットを胸に抱えて馬上から最敬礼を行ったことで有名)もそうですが、先生が引退されるときですね。あのときのブルーショットガン(2006年2月26日の阪神競馬第11競走・阪急杯優勝)と、フィールドルージュ(同日第12競走優勝)で通算1400勝を決めたことでした。

人生でああいうことがなく終わっていく方が一杯いるのに、あのインパクトはとんでもないものでした。


松永:引退した週の前まで1396勝だったんだけど、そこまでに年初から6勝とかしかできていなくて無理だろうなと思ってましたが、まさか勝てるとは思ってもみませんでした。

堀:競馬の神様に愛されたということですね。

松永:ブルーショットガンのレースも(2着だった)安藤さんがびっくりしてましたから。「まさか、幹夫ちゃんに勝たれるとは」とね。

堀:広尾のリニューアルが2007年、先生の開業も2007年。広尾はまだですが、G1も勝たれて、一昨年にはJRA賞を取られて、去年も厩舎賞を取られてその躍進はどのようなところにありますか?厩舎賞は一馬房あたりの勝ち星や勝率、出走数などの総合得点で争われますね。

松永:いえいえ、たまたまですよ。あれは地方も入るんです。あの年は地方でも勝たせて頂いたので。ただ、(賞を獲得できたことは)自分でもびっくりしていました。とある大オーナーに「どういう基準でなるの?」と聞かれたり、他の大牧場のオーナーには「どこにそんな技術があるの?」と言われたり(笑)間違いが起きちゃって。たまたま良かっただけです。

堀:いえいえ、たまたまでは獲得できないですよね。開業当初から重視されていることはありますか?



松永:チームワークですね。
一つの意見があれば真逆のことを言う人もいます。
ですので、(スタッフの)話を聞くことは重要です。

棟広:この(競馬の)世界が他の世界と変わっているのは、上の人が下の人を選べない。下の人は上を選べますけど。

松永:もちろんです。こういうもんだなと思っていますけども。

堀:先生は厩舎所属のジョッキーでしたのでその時からチームワークを大切にされているのですか?

松永:厩舎でも色々見ましたけど、仲良くはなくてもいいけど、同じ目標に向かってやってくれればいいとは思っています。

堀:結構、怒ったりしますか?

松永:最初の方は結構怒ってました。でも、みんなよくやってくれていますよ。

棟広:厩舎運営が回り始めたら・・・

松永:そうですね。怒ることはないですね。ただ、色々な意見を出してくれとは言います。馬はしゃべらないから。一人はこうだといっても、違う意見があります。その意見を聞くようにしています。
今年はアクシデントがあってなかなか、、、故障馬が多くて、故障して戻ればいいけど、そのまま引退する流れであまりうまくは回っていませんが、去年あたりまでの感じを見ればうまく回っているかなというところです。

棟広:我々で言えばゴッドフロアーですね。

松永:子どもはどうですか?

堀:エピファネイアが入ってます。

松永:それはいいですね。

堀:また生まれたらぜひお願いします。

松永:はい、もちろんです。

堀:ゴッドフロアーは重賞にも出て、障害でも夢を見させていただきました。

棟広:西谷ジョッキーがかなり評価していたんですけど。。。

松永:普通の障害でまさか落ちるとは。すぐに捕まればよかったですが、走りまわって負担がかかってしまったのでしょうね。かわいそうでした。
(ゴッドフロアーは)しっかりとしたキャンターでして、堅実に走ってくれましたから。

堀:ウェルシュステラの血統は長距離型が多いですが、長い距離で長く活躍して会員さんにも愛されています。

さて、募集馬についてお話しさせていただきたいのですが、
ウェディングソングは、現在長めのキャンターを行う中で13-13の速いところをやっています。

松永:結構やっていますよね。

堀:どうなのでしょうか。大型馬で動きが重いですか?

松永:いや、だけど、意外とスピードが有りそうな感じで、大型馬は比較的もたれて走る仔が多いのですが、牧場の人に聞いたら、しっかりと首を使って走っていると言うし、脚捌きもいいですし、すごい体も締まって良くなりましたね。だからいつでもいい状態ですよ。

棟広:春先の様子からすると、もう少しゆっくりかと思っていました。

松永:春先もトレッドミルでは運動してましたし、体が締まって来たら、いきなり動けてきましたね。

堀:牧場では、動き出せば早いとは聞いてはおりましたが、これほどとは思いませんでした。

松永:今はこっちが暑い状態ですので8月一杯北海道に置いておいて、乗り込んでもらって入れましょうか。入厩前の13-13もやってますし、しっかり乗り込んでもらっているし、牧場の評価も高いし、いいのではないですかね。

堀:歩きの動画を見ていただければと思います。

松永:結構(動画を)更新されているんですね。

堀:はい。毎月更新しています。

松永:(動画を見ながら)大きく歩くしね。首の使い方もいいことが分かります。体が以前に比べて締まったでしょう。これで動けるようになっているんですよ。
https://www.youtube.com/watch?v=uJo8ipQzTQU


(以前の歩きと見比べて)ほら、前のはどこか重たい。
https://www.youtube.com/watch?v=j5bWIbh96-0


堀:現時点で、気になる点はありますか?

松永:特にないです。
最初は体が大きくてドカドカと歩いて重いのかなと思ってましたけど、今は逆に軽いくらい。




(動画を見ながら)やっぱり、いいキャンターしますよね。これは13の坂路ですね。首を使っていいですよ、ホントに。脚も前に出てますしね。気性も大人しいですし、距離も持ちそうですよ。
https://www.youtube.com/watch?v=E_rpOZElFdU







堀:ここからは会員の皆さんからいただいた質問をさせていただきます。
そのままの質問でいきますね。

『ズバリ勝てますか?』

松永:勝てます、勝てます。

棟広:勝てますか。なかなかこうした質問には明確には答えていただけないものでびっくりしました。

松永:以前預かったキャンディウォーは重くて走る気がなかったですが、これは走る気もありますし、勝てます。



堀:次の質問です。『ゴッドフロアーに似ていますか?』

松永:似てはいないですが、距離が持ちそうです。

堀:『先生の期待値はズバリ何点ですか?』
基準が難しいですかね。
レッドディザイアあたりと比較してはどうですか?

松永:あれは入厩するまでは分からなかったですからね。
そうですね、点数でいうと誤解が生じてしまうので、言わば「合格点」ですね。笑

堀:『厩舎の活躍馬で似たような馬はいますか?』

松永:具体的に似ている馬となると分かりませんが、こういうペースで育成が進んできた馬はいいですよね。
この時期に入れる状況になっているのは、まさしく本当に順調ということなので入厩が本当に楽しみですね。たぶん、厩舎に入ったらもっと変わると思いますよ、大型馬なので。小さい馬の場合は変わりようがないんですよね。

堀:『牝馬クラシック路線に乗れますか?』

松永:それは厩舎に入ってからですね。(クラシック路線に)乗れる期待はもっています。

堀:『非サンデー系ですが、パワー・スピード・スタミナで秀でているのは?』

松永:スタミナではないですかね。

堀:スタミナがあると利点はどんなことですか?

松永:レース選択の幅が広いという点ですね。

棟広:まさにゴッドフロアーもバテるところはなかったですものね。

松永:体が大きいに越したことはないです。

堀:スピードがないわけではないですよね。

松永:もちろんスピードはありそうですよ。

堀:『課題はありますか?』

松永:今のところはないです。

堀:『ウェディングソングの産駒など、将来的にも楽しみだと感じ出資しましたが、ウェディングソングを選んだ一番の理由は、オペラ賞に挑戦できたら良い結果が期待できると思ったからです。松永幹夫先生は、どのように感じていますか?』 

棟広:かなりピンポイントですね。

堀:オペラ賞は凱旋門賞と同じ週に行われる牝馬限定のG1競走で、勝利するとBCフィリー&メアターフの出走権が得られます。
先生は海外挑戦されるイメージがありますよね。レッドディザイアのときはどうでしたか?

松永:いくつかある選択肢の一つでしたね。自然と。。。

棟広:(オペラ賞は)馬場面で言えばロンシャンですからね。スタミナは生かせそうです。

松永:可能性がありますよね。そこまで行ったら凱旋門賞が獲りたいですね。牝馬は優遇されていますし。今年も牝馬で強いイネーブルがいますしね。

棟広:サトノダイヤモンドの最大のライバルと言われてますね。

堀:ぜひ獲りたいです。次の質問です。『牝馬を育成する際、特に気を遣うのはどういう面ですか?』

松永:どうしても厩舎にくるとテンションが高くなりやすいため、団体で行動させています。慣れた馬を近くに置いてやっています。

堀:牡馬牝馬関係なく?

松永:もちろん牝馬同士で。
テンションが上がるところを気にしながらやっていきます。

堀:『ウェディングソングの新馬戦で使ってみたいと思っている条件は?現状を見て』
デビュー戦を語るということは入厩時期を聞かなくてはいけませんね。

松永:本当にいつでも入れられる状況ですが、9月の初めがいいと思うので、9月の2週目くらいでしょうか。木曜日は大安ですね。でも金曜日は赤口か。木か金はどちらになるかわからないから比較的取りやすい土曜日がいいですね。土曜日は・・・

堀:先勝ですね。先勝であれば午前中ならばいいですね。縁起を担ぐことも大切ですね。

松永:大切です(笑)9月9日(土)を目指していきましょう。

棟広:そうなるとデビューは10月末から11月くらいですかね。京都の内回りの1600m。1800mで外回りか。適性を見てからですね。

松永:そうですね。芝の1600mあたりがいいのではないかと思ってます。

堀:次の質問にいきます。『スピード能力はありますか。』

松永:あると思います。

堀:先生、回答が明確で。。。次の質問です。

『3歳冬で見据えるレースはありますか?』

松永:明け3歳ということですね。

その頃でしたらフラワーカップ・・・、いやフェアリーステークスが仮に1勝馬だったとしても出られていいのではないですかね。みんな最近強くなってきちゃいましたけど。

棟広:フェアリーステークスはいいですね。

堀:『2歳戦で重賞を勝つためには、1歳・2歳でどのような調教をしたらいいですか?』

松永:馬に合わせてやるのがいいとは思います。体がついてこないのにやれば故障の原因になりますしね。以前より早くから始動はしていると思いますが。競馬の番組体系が早くなることには合わせていくしかないけど、無理に進めていくのは故障の原因になりますね。

ウェディングソングは)今の時点でこの動きをしていればいいのではないですかね。

堀:ルーラーシップ産駒はいかがですか?

松永:ルーラーシップは現に(厩舎にいる)2歳(ナンヨープランタン)も一つ勝ちましたしね。これからではないでしょうか。

棟広:そうですね。ルーラーシップは晩成傾向でしたし、成長しそうです。

松永:すると思います。(選んだ)1歳のルーラーが厩舎に結構いるもん。期待しています。ルーラーシップはいいと思います。

棟広:ロードカナロアが2歳戦で勝っていて(仕上がりが)早いというインパクトが凄すぎて影に隠れているけど。

堀:今はお得ということですね。次の質問です。
『私は広尾サラブレッド倶楽部を愛していますが先生の印象は?』

松永:最初からのお付き合いですし、同じように成長していきたいという気持ちがあります。(まだ預かった馬で)結果を出していないから。早く出さないとね。

堀:いえいえ、勝っていただいていますし、いい馬を預かっていただきたいです。
最後のメッセージです。
『幹夫先生のファンです。サインをください!』

松永:もちろん、いいですよ。笑

(ご希望の方は会員の皆様へプレゼント(VOL.62)よりお申込ください。)



棟広:本日は、かなり手応えがあるコメントが聞かれましたね。

松永:いえいえ、これは本当にいいと思います。
ジョビアーレは同じ大型馬でしたが、気性に難しいところがあって、ゲートもなかなかうまくいかなかったのですが、この馬は気性もいいですし。

堀:ゴッドフロアーもそうですが、スマイルミッキーも56戦もして出走手当も含めると7,500万円近く稼いでいただいて、バーガンディミックも勝たせていただきました。

引き続き、よろしくお願いいたします!
本日は本当にありがとうございました。

棟広:私も貴重なお話をお伺いすることができました。ありがとうございました。

松永:こちらこそ、遠方よりわざわざお越しいただきありがとうございました。


<今回特集した募集馬>
ウェディングソング2歳牝(募集馬名:モンスーンウェディング'15 父ルーラーシップ 母父Monsun)
販売総額 1,600万円 / 総口数 2000口
一口価格 8,000円