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Online Racing Salon Vol. 15 Hiroo no Reiwa 坂井瑠星騎手と共に
21.06.30 - Racing Salon


6月26日、札幌5Rの2歳新馬戦(芝1200メートル)で2番人気のキングエルメス(牡=矢作、父ロードカナロア)が
好スタートを決めて、番手から楽々と抜け出し、デビュー勝ちを収めました。勝ち時計は1分9秒2。

キングエルメスは父ロードカナロア、母ステラリード(母の父スペシャルウィーク)の広尾ゆかりの血統。
母は09年函館2歳Sの勝馬。半兄に昨年のクローバー賞を制したカイザーノヴァ、
半姉に20年紫苑S2着パラスアテナがいる。

素質馬がいきなり能力を示した。
特に2歳戦に強い母系だけに、次走以降も期待が持てそうだ。

今回はキングエルメスに騎乗いただいた坂井瑠星騎手にお話を伺いました。

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米山尚輝(以下米山):キングエルメスの新馬勝ち!ありがとうございました。


坂井瑠星騎手(以下坂井J):いえ、こちらの方こそ素晴らしい馬に乗せていただきまして、ありがとうございました。
デビュー戦から勝ち上がることができて良かったです。



米山:さて早速ですが、今回の新馬戦を振り返って、また、坂井騎手のことなど、
いくつかお聞きしたいのですが、よろしいでしょうか。


坂井J:はい、もちろんです。



米山:ありがとうございます。それではまずキングエルメスについてお聞きします。
坂井騎手は、兄カイザーノヴァにも騎乗していたこともありますが、
父がロードカナロアに替わったことで、兄との違いは感じますか。


坂井J:カイザーノヴァ、パラスアテナ同様、テンションが上がりやすいのですが、
エルメスは新馬の中ではとても落ち着いて走ってくれました。
返し馬の時から、やや頭が高いのですが、兄のカイザーよりは高くならず、推進力はあると感じています。



米山:母ステラリード、兄カイザーノヴァ同様夏の2歳新馬戦で勝ち上がったことになりますが、
初戦を終えての感想をお聞かせください。

坂井J:正直、今回は能力の違いでだけで勝てましたが、1200mの馬ではないと思っています。
返し馬の時点で「勝てるな!」と思いましたが、もっと距離が延びた方がさらに力が出せると思います。



米山:芝1200mで勝ち上がりましたが、どのあたりの距離が合いそうでしょうか。
洋芝の適性はいかがでしょうか。


坂井J:今回の返し馬の時点で、1200mは本馬には短いと感じました。もちろん洋芝の適性も高そうで、
問題なくこなしてくれました。これから成長していくにつれて速い上がりも期待できそうですし、
洋芝だけではなさそうにも感じます。
2歳戦なら、もう少し距離のある、札幌2歳ステークスの方が向くのかも知れません。



米山:気性面で幼さがあるとのこと。調教では他の馬に噛みつきにいく様子も見せていたようで、
少し心配していたのですが、レースではしっかり走ってくれたようにも感じます。
レースで実際跨った際の感触やその他、今後の課題等についてはいかがでしょうか。


坂井J:レースでは初めて乗せてもらいましたが、これと言って課題はないように感じます。
しいて言えば、抜け出してから、フワフワと気を抜くところがあったので、逆に伸びしろがあるのかなと思います。
まだ良くなる余地があるかと思いますし、相手が強くなっても、まだまだ強くなると思います。



米山:デビュー前の厩舎のトーンはそこまで高くはなかったようでしたが、
調教ではそこまで目立たないタイプだったのでしょうか?実戦向きという感じもあるのでしょうか。


坂井J:矢作厩舎は猛者の集まりです(笑)もちろん期待はしていたと思いますが、
まずとりあえず、新馬戦は勝たせたかったですし、負けられないレースと心得ていました。
ゲートも出ましたし、前に行かなくてはいけない馬とは感じなかったので、
逃げる競馬はしたくなかったのであの位置取りにはなりましたが、いいリズムで気持ち良く走ってくれました。
調教よりは本番で力を発揮する部分もあるのかもしれません。今後、経験を積んで、色々と覚えていくと、
最も力を発揮できる条件が自然と定まっていくと思います。



米山:本馬はレース後に意気揚々と帰ってきたようにも見えますが、キングエルメスに限らず、馬は勝った時に、勝ったと分かるものなのでしょうか。


坂井J:どうですかね(笑)新馬ですし、どこがゴールか分かっていないと思います。ですが、勝って自信をつけて走るようになる馬は少なくはないと思います。


米山:ありがとうございます。それでは、本馬への期待のほどをお願いします。


坂井J:パドックで跨った瞬間もそうでしたが、返し馬に乗ってみて更に勝利を確信しました。
カイザー、パラスアテナの同時期よりも期待値は高いかも知れませんね。今後良い成長をしてもらいたいです。



米山:ありがとうございます。それでは、坂井瑠星騎手についての質問をさせてください。
特にドバイ帰国後、鳴尾記念(G3)をユニコーンライオン、ユニコーンS(G3)をスマッシャーで重賞制覇し、
先日の宝塚記念でもユニコーンライオンを2着に持ってくるなど、好騎乗を連発。
大変調子が良いようですが、サウジやドバイでの経験が活かされているのでしょうか?
意識の変化等ありますでしょうか?


坂井J:正直、特に大きく変えたことはないんです(笑)
ただ、2年目からオーストラリアやその他多くの国で経験をさせていただいていて
少しずつですが、結果に表れてきているような気がします。
勿論、良い馬に乗せていただいていますので、日々感謝でしかありません。



米山:競馬へ向かうにあたってのルーティン、ゲン担ぎなどありますか。


坂井J:特にないです(笑)以前から毎週自分が乗る馬、ライバルの馬の研究はしています。
全てVTRでレースを観たり調教もくまなくチェックしています。準備できることは全てやりたいと思う方です。



米山:古川奈穂騎手は、術後大丈夫でしょうか。兄弟子として想いもお聞かせください。
また、目標とする騎手や仲の良い騎手はどなたでしょうか。団野騎手ですか(笑)


坂井J:今彼女はリハビリ中ですね、物凄い真面目な子です。技術的にはまだまだですが、
同じ馬に乗ることもあるので、兄弟子として負けられないですし、
一緒に厩舎の勝利に貢献したい気持ちは常に持っています。
目標とする騎手ですが、海外へ出てみるとどこへ行っても日本と言えば武豊騎手の名前が挙がります。
武豊騎手の偉大さを痛いくらい感じました。
仲の良い騎手ですが、同期とはみんな仲良くしています。その他、団野騎手とはデビューのときから仲良くしています(笑)



米山:広尾のインスタに「いいね」していただいて、ありがとうございます(笑)


坂井J:いえいえ(笑)楽しく拝見しています(笑)素敵なインスタですね。また「いいね」します(笑)



米山:では最後に広尾サラブレッド倶楽部の会員の皆様へ一言お願いします。


坂井J:いつも大変お世話になっております。
技術をさらに向上させて、広尾サラブレッド倶楽部のお力になれるよう頑張りたいと思います。
いつも広尾の良い馬をたくさん乗せていただき、心から感謝しております。
キングエルメスですが、この血統らしい、いいフットワークをしていますし、レースセンスもいいです。
抜け出してからはまだ遊んでいるところがあるので、この先、さらに成長したら本当に楽しみですね。
これから人馬共に応援のほどよろしくお願いいたします。


米山:ありがとうございます。本日はお忙しいところお時間をいただきましてありがとうございました。


坂井J:いえ、こちらこそありがとうございます。引き続き頑張りますのでよろしくお願いいたします。