今回は高柳瑞樹調教師をお迎えします。　


米山：先生、ご無沙汰しております。
 
高柳瑞樹調教師：（以降、高柳）こちらこそです。
 

高柳瑞樹調教師

 
米山：コロナは下火になってきていますが、関係者の皆様に何かありましたら大変なことなので、今回はオンラインでお話をお聞かせ下さい。
 
高柳：はい、僕も慎重に生活していますので助かります。
 

高柳瑞樹調教師

 
米山：前回は弟・大輔先生と一緒に取材をさせていただきました。
このような時代ですが、先生は弟、大輔先生と情報や意見交換をされているのでしょうか。
 
高柳：そうですね、頻繁ではありませんが、多少はしています。
厩舎に入れた治療器具とか、厩舎にいる馬はどうかとか、あれどうやってるとか、これどうやってるとか、ですかね。
 

高柳大輔調教師

 
米山：兄弟間で広尾の馬やレース結果などが話題に挙がることもあるのでしょうか。
 
高柳：勿論ありますよ。大輔の初勝利は広尾さんでしたし、兄弟で預託していただいていますので、話題に出ることは少なくはないと思います。

 
高柳大輔調教師
 

米山：やはり弟さんの厩舎の動向や成績は気になるものでしょうか。
 
高柳：そうですね、他の調教師よりは気になりますね（笑）

 
高柳瑞樹調教師
 

米山：さて、お預かりいただいているパラスアテナについてご質問させて下さい。
 
高柳：はい、もちろんです。

 
パラスアテナ
 

米山：前走の西宮ステークスでは休み明けを一度叩いて本来の力を発揮するレースとはなりませんでした。
 
高柳：まだ本来のデキにはなかったのかもしれません。何とか巻き返せるように再調整していきたいです。
 
米山：リフレッシュ放牧を挟んで立て直しですね。
 
高柳：はい。秋華賞で４着にきただけの実力馬ですので、僕達もかける期待は変わっていませんので。

 
パラスアテナ
 

米山：古馬になって、現在の適性はいかがでしょうか。マイル（1600m）では忙しいのでしょうか？
 
高柳：1,600ｍはまだ一走しかしていませんが、結果が出ていません。厩舎スタッフや僕らからみてもストライドは大きくないですし、前もそれほど出ないです。ただ、武豊騎手に乗ってもらった感想も加味すると、2,000ｍ前後が良いのかも知れませんね。
本馬はまだ若いですし、現在まだ3勝クラスですのでヴィクトリアマイル、エリザベス女王杯など大舞台を意識し過ぎないよう、ベストの状態に整えて次のレースを一歩一歩目指していきたいと思います。
 
米山：ちなみに、血統や走り方、息の使い方、馬体等、馬の適性距離を判断するポイントは色々あるかとは思いますが、先生のお考えはいかがでしょうか？
 
高柳：適性距離を判断する意味では、折り合い、前向きさではないでしょうか。勿論血統も加味しますが、参考にするくらいでしょうか。あとは乗った感触とかになると思います。


パラスアテナ

 
米山：ご自身でパラスアテナに騎乗することもあるかとは思いますが、やはりご自身で騎乗して、そのあたりを感じ取れる部分はあるのでしょうか？
 
高柳：そうですね、実際に乗ってみて判断することもありますが、相対的に助手、騎手含め意見交換して最終的な判断をすることが多いです。

 
パラスアテナ
 

米山：馬の状態等を判断する上で、騎乗した感触を例えるとするとどんな感じでしょうか？車などで例えると（笑）
 
高柳：よく背中が良いとか、硬いとか聞きますよね。乗ると分かるのですが、硬いと怪我しやすかったりしますし、良い馬はクッションがいいので、高級車に乗った感じでしょうか（笑）

 
パラスアテナ

 
米山：やはり騎乗するためには普段から節制されることもあるのでしょうか？
余談となりますが、先生はスタイルの良さをどのように維持されているのでしょうか？
 
高柳：節制は一切していないですね。朝が早いので一日に昼と夜の2食しか食事しないのですが、それでもしっかりと食べていますね。騎手に多いのですが僕もお米はあまり食べない方です。あとは腰が痛い時はマッサージに行くくらいですよ（笑）
 

パラスアテナ

 
米山：それでは話を戻させていただきます。そろそろ４歳後半に差し掛かってきました。ルーラーシップ産駒は息が長く、古馬での活躍も目立ちますが、今後の伸びしろについてはいかがでしょうか？
 
高柳：ポテンシャル的には、オープン馬として戦えると思っています。決して3勝馬で終わる馬ではないと思います。

 
パラスアテナ

 
米山：松風馬事センターで前回から「かなり馬体が増えるようになった」という話も聞いています。実際トレセンで管理していて、気性面もそうですが、以前と比べて何か変化や感じるところはありますか？
 
高柳：以前は体重を戻すのに苦労していましたが、確かに牧場に戻ってから体重の戻りが早くなったと感じます。また高かったテンションも以前に比べて落ち着いてきたと思います。
競馬にも立て続けで使えたのは未勝利のころでしたが、今になって落ち着いてきた分、使えるようになってきましたね。でもどちらかと言うと気が入っていたころの方がバリバリ走ってくれていたので、その辺りは少し心配ですね。

 
パラスアテナ

 
米山：次に期待の１歳馬、エンパイアブルーの初仔についてお聞かせ下さい。
 
高柳：定期的に馬の確認に行っています。見る度に、成長が見て取れるので、本当に楽しみにしています。
 

エンパイアブルー’20

 
米山：私共も、大きな期待を寄せています。
 
高柳：最初にお声がけをいただいた時から楽しみでした。デビューは遅かったですが、阪神でぶっちぎったレースを観ていましたので。
 
米山：私共も東京競馬場のテレビで観ていたのですが、あの圧勝劇はかなりのインパクトでした。
 
高柳：その後、どこまでいくのかなと見ていましたが、思うように重賞戦線での活躍を見れなかったので、本馬とは重賞にいきたいと願っています。
 
米山：そうですか！どの辺りがこの馬の良さだと思われますか？
 
高柳：悪いところがないところと、バランスが良いところでしょうか。とにかく見る度に、満足いくレベルでの成長を続けてくれているので楽しみです。

 
エンパイアブルー’20


米山：初仔という点について、割引される方もいらっしゃいますが、ソダシなど初仔から活躍する馬もいます。先生の中で、初仔の印象、また初仔から走ってくる馬のポイントはありますか？
 
高柳：初仔ということは正直あまり気にしていないですね。体が小さく出てくることがあるということくらいですが、あくまでも一般的には気にする方もいるというレベルですので僕は初仔であることを好むとか嫌うとかはありません。
 
米山：父のマジェスティックウォリアーについてはどうですか？
 
高柳：芝でもダートでも重賞勝ち馬を出しているので、楽しみな種馬の１頭だと思っています。
 
米山：配合的にはどうでしょうか？
 
高柳：母エンパイアブルーは繁殖牝馬として魅力的で、Unbridledとサンデー系の相性は既に日本でも証明済ですし、Sex Appealのインブリードも爆発力ありそうですよね。
 

エンパイアブルー’20


米山：Hirooブランドの１頭として配合を重ねてきているので、スーパーホースになって欲しいと思っています。
 
高柳：無事に成長してもらうこと、まずはそこで、それから調教を重ねることで力をつけていってくれれば、結果につなげられるとは思っています。
 
米山：やはり、無事にいくこと、まずはそこを祈っております。
 
高柳：僕はどの馬も可能性がある馬だと思っています。なので、本馬にも、大きなタイトルを取ってもらえるように、厩舎一同で頑張りたいと思います。
 
米山：ありがとうございます！それでは、会員の皆様に一言お願いします。
 
高柳：はい。パラスアテナで獲れなかったクラシックタイトルを目指す目標を持つことは当然ですが、馬の成長に合わせて力をつけていきたいと思っています。
 

エンパイアブルー’20


高柳：広尾の会員の皆様ともお付き合いも長くなっていますので、ぜひ大きなタイトルを狙っていきたいと思っていますので、今後とも宜しくお願い致します！
 
米山：それでは最後にハキについてお伺いさせてください。
エンパイアブルー20と同じマジェスティックウォリアー産駒、エンパイアブルー20が母父エンパイアメーカーということで、よりダート色が強そうなイメージもありますが、ハキは母父がサンデーなので芝への適性にも期待したいのですが、その点はどう思われますか？
 
高柳：パワー型ではないですし、軽めのタイプですので芝でも十分行けると思っています。


 ハキ


米山：現状の本馬の具合はいかがですか？
 
高柳：坂東牧場に行く度にしっかりと見ています。今はまだ乗ったり休んだりの繰り返しですが、少しずつ進められるようになってきていますので、年末から年明けあたりにかけて攻めの姿勢に転じられるかどうか、牧場と連携を取って日々ウォッチしています。
 
米山：本馬はクラブゆかりの功労馬であるレフィナーダのラストクロップでもあり、以前から多くのファンの方が見守ってくださっています。どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。



ハキ

 
米山：先生、本日はありがとうございました。

高柳：ありがとうございました。本馬、軌道に乗ってくるまでに時間がかかっていますが、広尾の会員の皆様、ご出資者の皆様、引き続き、応援をいただければ嬉しいです。よろしくお願いいたします。