archives
Online Racing Salon Vol. 27 Hiroo no Reiwa 吉田豊騎手と共に 【ドバイターフの勝利について】パンサラッサ!
22.04.15 - Racing Salon

【ドバイターフの勝利について】パンサラッサ!


 


米山尚輝(以下米山):ドバイターフの勝利ありがとうございました。
 
 
吉田豊騎手(以下吉田):こちらこそ本当にありがとうございました!!

 
 


米山:読売マイラーズC除外後のオクトーバーSで初騎乗していただきました。当時のパンサラッサの印象はいかがでしたか?
 
 
吉田:そうですね、初めて乗せてもらった時は、前のレースは取り消しで休み明けだったのですが、いかにも休み明けの印象を受けました。ですのでこの馬がレース感覚を取り戻すため、スイッチを入れさせるような感じでいきました。先生からも前に行ってとの話がありましたし、府中の2000mのスタート地点は直角カーブまでは非常に短く、押していかないと前に行けないコース形状。内枠だったことも良かったと思いますが、ハミをしっかりと取ってくれて、この馬のペースで前に行ってくれました。その時に思ったのですが、意外と自分が乗っているスピード感覚よりも時計が速くなる馬ですね。



 

米山:素質を感じながらもなかなか芽が出ず一年前まではOPクラスで賞金が足りず使いたいところも使えませんでした。オクトーバーSに騎乗した際に、ここまでの活躍を想像できたのでしょうか?
 
 
吉田:オクトーバーSでは稍重で力のいる馬場だったので上手く勝てました。ずっと乗っていた訳ではありませんのでポンポンと勝てるとは思っていませんでした。ただその後、福島記念の競馬では前に行った馬がことごとくダメだったのに見事な逃げ切りで勝利、本当に強い馬だと思いました。




 
米山:ドバイワールドカップデーでは、矢作厩舎のバスラットレオン、ステイフーリッシュが2連勝。日本馬の活躍もありましたし、プレッシャーはありましたか?
 
 
吉田:そうですね、中山記念では、先生から思いっきり行っていいと言われていたのでプレッシャーはありませんでしたが、ドバイでは日本馬の2連勝の後、プレッシャーが大きくなりました。着順よりもハナに行って競馬ができるかのプレッシャーが大きかったように思います。



 

米山:今回のドバイターフのレース当日の馬の気配は過去と比較してどうだったのでしょうか?
 
 
吉田:いつもはパドックからコースに行くときにメンコを外すのですが、中山記念の時は上手くメンコが外せなかったのでゲート裏で外しました。ドバイの場合、前もって外しておかないといけないので、騎乗前にメンコを外しました。返し馬の時に入れ込んでいましたが、その後なんとか落ち着いてくれました。海外ではゲートまでの時間が短いので心配していましたが、ゲート内でも落ち着いていましたので自信を持って行けました。
 


 

米山:映像で見た感じだと、オクトーバーSや中山記念のように後ろを離すような大逃げには見えなかったのですが、前半のペースは想定していたペースで走れていたのでしょうか?焦りなどはなかったのでしょうか?
 
 
吉田:上手くスタートだけ切ってくれと願っていましたが、上手いこと出てくれました。前半長い直線だったので、馬のペースで行こうと考えていて、そんなに遅くはないな、みんなもつけてくるなと、道中、3コーナーまで考えていました。コーナーの上手い馬なので、そこからロングスパートを掛けて行こうと。


 

 
米山:ただ、いつもよりも大逃げにならなかった分、終いの手応えは良かったのでしょうか?
 
 
吉田:4コーナー回る時にコーナーで後続に仕掛けられたので、直線もってくれと願いながら追っていました。
 
 



米山:ナイターで馬の行きっぷりが良くなかったという記事も見ましたが、どの程度影響があったのでしょうか?
 
 
吉田:その辺がどうなのかは分かりませんが、進んで行かない感じはなかったですね。前半は行くように促しましたが、その後は馬が行ってくれました。速いペースでしたので、追ってきた馬達は苦しかったのではと思います。ただ今回はそれほどハミを取って行かなかったのでもしかしたらナイター等色々な影響があったのかも知れませんね。
 

 


米山:日本との馬場(芝)の違いというのもあったのでしょうか?
 
 
吉田:そこまですごい違いは感じませんでした。日本の芝にも似ていると思いますが、どちらかと言うと欧州の芝に似ていますね。走りも良く、時計も速かったので本馬には向いていると思います。
 



 
米山:直線ではLord Northなど差し馬が迫ってきていて、映像を見ているこちらはハラハラしていたのですが、逃げている時にどのようなお気持ちだったのでしょうか?
 
 
吉田:もう本当に頑張ってくれていましたので、ゴールした時は、残っていてくれ!と。外からの追い込みが凄かったのでダメだったのかな、、、とも。ただいい競馬をしてくれて、ホッとしました。世界に通用する馬だと思いました。
 
 



米山:逃げることを作戦としていたと思いますが、もし逃げられなかった場合はどうするかなどの考えはあったのでしょうか?
 
 
吉田:その時はどうしようかと、、、この馬の競馬が出来ないことがダメで、逃げれなかったら許されないので、オーバーペースになる分にはいいけど、逃げるだけ逃げて、外枠だったので多少の遅れはあっても強引に行こうと考えていました。この馬のスピードで行けば行けると思ったので、その点に細心の注意を払いました。

 



米山:逃げ馬の場合やることは一つかと思いますが、相手関係や人気馬の脚質など意識して乗っているのですか?人気馬がどこにいるかなど把握できるものでしょうか?逃げている身としてはどういった心境なのでしょうか?
 
 
吉田:この馬の競馬をすることだけ考えて乗っていました。リズム良く、左手前で出て、直線が長いので早めに右手前に替えなくちゃとすぐ替えて、、と、自分の馬のことしか意識していなかったですね。3コーナー辺りで後続の脚音が聞こえてきたのでコーナーリングも勢いよく行きました。
 



 
米山:ゴールで3頭が並ぶ接戦となりましたが、手応えはあったのでしょうか?
 
 
吉田:正直、交わされたのかと思いました。
 




 
米山:レース後検量室でデットーリ騎手と映っているキスされている写真が印象的でしたが、あの写真は同着が確定した時のものでしょうか?確定まで時間がかかったかと思いますが、その時の心境はいかがでしたか?
 
 
吉田:検量室に鞍を持って行く途中、デットーリが喜んでいたので、負けたんだと思いました。そこにルメールがいて、同着と言ってくれたので、良かった~~~と思いました。
 
 



米山:母系にモンジューが入っている血統を見ると、ヨーロッパのタフな馬場もこなしてくれるのではないかと思いますが、距離や適性について騎手の目線からどう思われますか?
 
 
吉田:僕も3回騎乗させていただいて、2,000m、1,800m、1800mでしたが、長いところや1,600m等はどうですかね。乗ってみないと分かりませんが、今回の1,800mくらいの距離での逃げが今のところベストではないかとは思います。自分のリズムで競馬が出来て、ペースも身についていると思います。
 
 



米山:吉田豊騎手も長い怪我から復帰し、パンサラッサと出会ったわけですが、吉田騎手にとってパンサラッサとの出会いについてはどのようなお気持ちですか?
 
 
吉田:本当にラッキーとしか言えないです。逃げが出来て何が何でも逃げてくれて、本当に凄い馬だと思います。そんな馬に、先生や広尾さんから府中のオクトーバーSに乗せてもらえたのがラッキーの始まりですね。その時がパンサラッサとの出会いであり、それがなかったらこの日はなかったと思っています。感謝でしかありません。




 
米山:矢作先生との関係も、様々な記事を読ませていただきました。改めてパンサラッサでドバイターフを勝ったお気持ちをいただけますか?
 
 
吉田:いや~~~本当に嬉しいです!競馬に勝つことはどのレースでも嬉しいのですが、特に今回のような国際レースでの大舞台ですので、先生、広尾さん、皆様の気持ちで、外国人ジョッキーの方がいいのでは?という昨今の中、アサインしていただけてそれが本当に嬉しかったです。表彰式を待っている時に「本当に勝ったんだ!」と実感が湧いてきました。
 



 
米山:最後に広尾サラブレッド倶楽部の会員の皆様へ一言お願いいたします。
 
 
吉田:パンサがこういう風に古馬になって、この馬の形が出来て、ドバイでも勝って、本当におめでとうございました。お一人お一人の出資会員様には感謝でしかありません。これからもパンサの応援をお願いいたします。僕もまた大舞台で乗れるよう、勝てるよう、精進して参ります。宜しくお願いします。ありがとうございました。



 

米山:本日はありがとうございました。