棟広氏が自身の予想のパドック班として絶大な信頼を寄せ、
個人馬主の相馬を担当したり、netkeibaにおけるプロ予想家としても著名な
パドックスペシャリスト古澤秀和氏に現在募集中の広尾っ仔を見て頂きました。
タイトルは「パドックスペシャリスト古澤秀和の【広尾っ仔馬体診断】」
馬見に自信のある方は答え合わせを。
まだ馬見には自信がないといった方にはその馬見の方法を参考にして頂ければ幸いです。
古澤氏からのコメント
◆古澤の馬選びの考え方
各馬を「雰囲気」という言葉で片付けるのではなく、パーツ単位で分析し、このパーツを
持つ馬はどのような条件に適性があるのかということを、血統背景も踏まえながら考えています。
例えば、
「繋(つなぎ)が立っていて胸前の筋肉が発達しているような馬はダートや力の要る馬場に向く」
といった感じです。
<立ち繋(たちつなぎ)の例>

<寝繋(ねつなぎ)の例>

実際にはもっと細かい点を見ますが、このように具体的にどのような条件で活躍するか
ということをイメージした方が、厩舎との相性を考える上でも役に立ってくるでしょう。
馬の将来の能力を予測するということは馬体面だけではなく、厩舎の腕や相性にも
大きく左右されます。馬のポテンシャル、育成、厩舎などの条件が噛み合ってこそ能
力の高い馬は生まれるわけです。それらを踏まえた上で今回の馬体に関するコメン
トを書かせて頂きましたので、馬選びの参考にして頂ければと思います。
◆各馬解説
・ステラリード’14 牝(父:シンボリクリスエス 母父:スペシャルウィーク)

父シンボリクリスエスの産駒には背が高い馬が多くなっていますが、本馬は短距離で活躍した
母の影響で重心が低く、短距離向けの馬体に見えます。骨量、筋肉量が豊富で、筋肉の質に
はパワーに満ち溢れていた父の影響を感じさせます。繋(つなぎ)の角度は理想的で、飛節
にも硬さを感じさせません。北海道シリーズの様な力の要る馬場での活躍が期待できそうです。
【残僅か】ステラリード'14募集馬ページを別ウインドウで開く
・ネヴァーピリオド’14 牝(父:マンハッタンカフェ 母父:タイキシャトル)

半姉にフジキセキ産駒のストレイトガールがいます。本馬はマンハッタンカフェ産駒で繋が長く、
スプリントからマイルで活躍した姉よりも距離の融通がありそうです。手先に柔らかさもあっ
て筋肉の質も柔軟でいかにもバネがありそうです。肩の角度も可動域が広そうで、かなりの
ポテンシャルを感じさせます。
ネヴァーピリオド'14募集馬ページを別ウインドウで開く
・Bijoux Miss’14 牝(父:Hansen 母父:Buddha)

半姉のリトルゲルダと比べると本馬の方がパワー寄りの印象を覚えます。骨格がしっかりしてい
てトモの筋肉も発達しています。歩き姿も力強く、特に飛節のバネ感が素晴らしいと思いま
す。姉リトルゲルダ同様に短めの距離で期待ができそうです。姉リトルゲルダは芝にしか実績は
ありませんが、本馬はダートでも活躍できるポテンシャルを持っています。
Bijoux Miss'14募集馬ページを別ウインドウで開く
・アスクコマンダー’13 牡(競走馬名:ドゥオーモ)
(父:ディープインパクト 母父:コマンダーインチーフ)

父ディープインパクトの産駒には直飛節で腰高体型の馬が多いのですが、本馬はやや曲飛節
気味で、後肢に重心が掛かるタイプです。現役馬で言えばクルミナルのタイプですね。筋肉
の質は柔らかく、バネ感を感じさせます。調整過程でトモに実が入ってくれば更に良いバラン
スに育つでしょう。造りに窮屈さはないので、距離はマイル~中距離までこなせそうです。
[満口直前]アスクコマンダー'13募集馬ページを別ウインドウで開く
・ムーンライトゼファー’13 牡(競走馬名:ハナズレジェンド)
父:ハーツクライ 母父:ムーンロケット

見るとまず目に付くのがトモの丸みです。ハーツクライ産駒にはこのような馬が多いのですが、
同馬にもそのトモの筋肉が受け継がれています。ボリューム感を感じさせる体型とパワーに
寄った筋肉の質が矢作厩舎との相性の良さも感じさせます。距離はマイル辺りに適性を感
じます。
ムーンライトゼファー'13募集馬ページを別ウインドウで開く
・ジョイフルステージ’13 牝(競走馬名:ハナズローズ)
父:ハービンジャー 母父:サンデーサイレンス

ハービンジャー産駒は直飛節の馬が多いのですが、本馬は母父の影響で程良い角度になって
います。繋に程良い長さがあり、上体にも窮屈さがないので、距離はこなせるタイプでしょう。
完成するまでに時間は掛かりそうで、奥手ですがいずれは走ってきそうな馬という印象を受けます。
ジョイフルステージ'13募集馬ページを別ウインドウで開く
・ゴールドグレイス’13 牝(競走馬名:ハナズワンスモア)
父:オレハマッテルゼ 母父:Lonhro

まず目が行くのはその筋肉の質と飛節のバネ感です。曲飛節気味ですが、強い筋肉の質が
瞬発力に変えてくれそうです。無駄肉の付かないタイプの様で、その辺りは同じオレハマッテルゼ
父に持つハナズゴール同様に非凡な切れを期待させます。胸前の発達も目を引き、マイケ
ル・タバート氏がワンスモアと名前を付けた理由も分かります。
[残5口]ゴールドグレイス'13募集馬ページを別ウインドウで開く
・シャープナー’13 牝(競走馬名:ハナズレガシー)
父:オレハマッテルゼ 母父:スニッツェル

まだ後肢に頼りなさは感じさせますが、手先の強さには感じるものがあります。それが走ら
せると回転が速く、歩き姿よりもきびきびとした動きに繋がるのでしょう。繋の角度は歩か
せると立ち気味で、現状はダートが合いそうな印象です。ただ、今のパワーを要求される馬
場なら芝でも走るかもしれません。
シャープナー'13募集馬ページを別ウインドウで開く
いかがでしたでしょうか。血統的な背景も踏まえ、その馬の特徴をパーツ毎に捉え、分かりやすい
コメントでお伝えいただきました。ありがとうございました。
馬体は今後の成長によっても変化していきます。
古澤氏には引き続き成長の変化も追っていただきたいと考えております。
竹内啓安氏の血統診断と共に皆様の馬体診断班としてご参照いただければと存じます。
また、古澤秀和氏は「競馬を語り合えるBAR「K-LINE」」を京都・祇園にて
運営しております。「広尾サラブレッド倶楽部の会員の方であればもちろん大歓迎です」
との有難いお言葉も頂き、会員証を”マスター古澤”にお見せすれば、一杯無料としていただけるそうです。
「京都開催」や「ウインズ京都」のあとに寄られてみてはいかがでしょうか?
競馬関係者も数多く集いますし、古澤氏の馬見への気軽な質問からディープな競馬談義まで
お楽しみいただけること間違いなしです。
競馬を語り合えるBAR「K-LINE」
【プロフィール】古澤 秀和(Hidekazu Furusawa)
1978年京都生まれ。京都育ち。現在も京都在住。同志社大学商学部卒業。職業馬券師。
平成14年に月刊誌「競馬王」にて予想家デビュー。以後も競馬最強の法則や競馬大予言など
の雑誌で連載を持ち、単行本も多数手がける。現在はnetkeibaで馬場ニュースや先週のパドッ
クプレイバックなどのコラムを執筆している。基本的に予想のスタイルは「馬を見る」こと。必ず開催
場のどこかに足を運び、生の馬を観察している。馬を観察するポイントは、デキや能力はもちろんの
ことだが、体型や骨格、筋肉の質などから、距離や馬場に対する適性を見抜くことを重視している。
競馬を語り合えるBAR「K-LINE」を京都・祇園にて運営している。