レフィナーダ’15を管理する新進気鋭の高柳瑞樹調教師に突撃インタビュー!
16.11.11 - Special Interview

取材対象:高柳瑞樹 調教師
インタビュアー:スタッフ吉田
撮影:スタッフ中村
収録日:2016年10月26日
吉田:クリサンセマムの転厩を一度受け入れていただいたのですが出走には至らず、会員の皆さんにとっては実質ほぼ初めてになりますので、今日はその会員の皆様向けに、高柳先生自身のこと、高柳厩舎のこと、あとはレフィナーダの2015年産駒のことについて、大きく三つお聞きできればと思います。
高柳先生は、ご実家が生産牧場をされているということですが。その流れで競馬は自然に、ずっと物心ついたときから馬に関する仕事に触れていたということですね?。
高柳:牧場は門別にあるんですが、馬への関わりはもちろん小さいころから。実際に何かしたっていうのは牧場の仕事を嫌々手伝っていたのが最初です。(笑)

吉田:最初は嫌々だったんですか。(笑)
高柳:嫌々でしたね。集牧、放牧の繰り返しで、ずっと馬を引っ張っていましたから。
吉田:馬術はいつごろからされたのですか。
高柳:高校からです。大きくなるにつれ見方が変わっていったというか、その内嫌々という気持ちはすっかりなくなっていました。
吉田:藤原英昭先生と関係があると聞いたのですが、同じ明治大学馬術部の先輩である久保田先生のご紹介だったのですか。
高柳:そうです。藤原先生も久保田先生も、馬術畑というか、馬への関わり方、見方の下地に馬術がある、考え方の基礎に馬術がある先生です。実は大学馬術部出身の調教師はけっこうおりまして、その関係で、紹介していただきました。
吉田:その後、競馬学校の厩務員課程に進まれたんですね。伊藤伸一厩舎に一番長く在籍されて、11年ほど調教助手をされて、そこから調教師になられたということですね。
初年度、2011年は、勝ち星は伸びませんでしたが、2012年になるあたりで、けっこう馬の入れ替えをされているようですね。
高柳:入れ替えをしたというか、馬がいなかったので、選択肢がないというか・・・。いないと経営が成り立たなくて、それでも休ませないといけない馬は出していましたけど、馬房も空いていましたし、ちょっと厩舎としては経営難の時期だったというのが実情です。好きで入れ替えたわけじゃないですね。(笑)
2012年あたりから徐々に頭数も集まってきたので、より状態のいい馬を入れることができ、レースに使えるようになってきたという感じですね。
吉田:その後数字上の成績もよくなってきて、今年はタマノブリュネットとヴィータアレグリアという馬が地方牝馬ダート・グレードを勝利。その当時は2頭とも、中央で言うと1,600万以下の条件でレースしていたと思いますが、番組選びで気をつけておられること、番組選びの際に一番重視していることは何かありますか。
高柳:その2頭に関しては牝馬なので、1,600万で牡馬と戦うのはちょっと酷だと思いました。調べてみると、その年は牝馬のダートの重賞路線の馬がみんな引退していて、層が薄かったんです。1,600万でも出られそうだということを調べて、それでチャレンジしていったらハマったというか。
他の馬たちは、様々です。オーナーの意思もありますが、「ここで使ってほしい」ともし言われれば、相談にはもちろん乗りますけれど。基本的には番組選びか、馬がいいときに勝っているイメージはあります。

吉田:馬の力が出せるタイミング、もしくは条件ということですね。相手関係についてはレース選びのファクターに入れますか?
高柳:もしメンバーが選べるなら、今は楽な相手を選んで入れてます。「弱いところばかりじゃあしょうがない、クラスが上がればいずれ当たらなくてはいけないので、あえて強いところに入れて・・・」という考えももちろんあるとは思います。でも、もし選べるなら、未勝利などでは、今は少し薄めのところを狙っています。でも、ジョッキーを固定するとなかなか選びにくくはなってしまうジレンマもありますが・・・。
吉田:ジョッキーを固定してしまうと番組選びに関しても選択肢が狭まってきますよね。
高柳:「この人に頼んじゃった」みたいな。(笑)
先に頼んでおいて気軽に変更できませんし。
吉田:そのあたりも番組選びの難しいところですね。牧場の木村秀則さんが、「馬のことを考えて番組選びなどもされる先生だ」とおっしゃっていたのですが、坂東牧場さんや木村秀則さんとの関係は、以前からお知り合いだったのですか。
高柳:木村さんは、セリ馬を見に行ったことは何度かあります。そのあとレフィナーダ‘15を見に行って、何回かお話しました。
坂東は、若社長が小学校時代の同級生なんです。彼は中学から私立に行って、僕は公立だったので別れましたけど。
吉田:それ以来ずっと関係があったということですね。
高柳:気心が知れているので、いろいろと楽ですね。
吉田:本題の、レフィナーダ’15についてですが、これが先週の写真です。
16.10.28更新 坂東牧場

16.09.16更新 木村秀則牧場

高柳:ウチで預かるという話が来て、最初に木村さんのところで見せていただいたときには、脚長でちょっと薄め、ヒョロっとした感じの印象の馬でしたね。血統的にはどうかわかりませんが。これは二つ上がエンパイアブルーという藤原さんのところの馬ですよね?
吉田:そうですね。レフィナーダ‘15は父がヘニーヒューズです。基本的に筋肉量がある産駒を出す種牡馬ですよね。
高柳:最初に見たときには筋肉量がなかったので、タイプは違うなと思いました。何度か木村さんのところで見せてもらったときはスラッとした感じでしたが、移ってきて少し経ってから見たら、けっこうボリュームアップしていました。
吉田:成長とともに筋肉量がかなり増えてきたということですね。
高柳:(最新の写真を指さしながら)これに近い感じですね。前回、9月下旬に見に行ったとき、そろそろ馴致を始めようかという時期で、「どうしましょうか」と言っていたのですが、牧場と相談して、「急激にボリュームアップしてきたので、もう少し待ったほうがいいんじゃないか」ということで放牧を継続しています。

吉田:筋肉量が増えてきたので、まだ成長を促してということですね。
高柳:今回見せていただいたものは写真上なので断定はできないですが、僕が見たときよりも、さらにボリュームアップしている感触はありますね。
吉田:あえて昼夜放牧を継続しているということですね。
高柳:放牧をしつつ体重が増えているので、過度なストレスを与えなくてもいいのではないかと。だいたい僕はあまりそれに関して口出すことはないですが、それでも以前より見違えるほどボリュームアップしたので、待てるなら待とうと。牧場としても放牧を続けることはそれほど手間ではないということなので、ちょっと待ってもらいました。そろそろ馴致を始める頃だと思います。
吉田:広尾では、毎年エクイノム・スピード遺伝子検査の結果を公表しています。このレフィナーダ’15はC:T型の中距離適性と出ました。たまにヘニーヒューズの産駒だとマイル以下しか走らない馬もいますが、この馬に関しては、育成などしだいでは、もう少し距離はもつのではないかとこちらとしては考えています。そのあたりの印象としてはいかがでしょうか?

高柳:そうですね。スプリンター体型ではないなとは思います。可能性はあると思います。1600mか1800か。産駒もだいたい1800mぐらいですよね。
吉田:そうですね。日本で走っている産駒がまだ7頭なので断定はできませんが、ケイアイレオーネくらいでしょうか、けっこう長いところでの実績があるのは。
高柳:それに対してヘニーハウンドはちょっと短い距離中心に使っている馬か・・・だけど、レフィナーダ‘15に関してはスプリント寄りというよりは、マイル寄りな感じじゃないですかね。
吉田:印象として、マイル付近が良さそうかなということですね。
高柳:繋ぎも胴もあるし、距離はある程度はもつんじゃないかなと思っています。
吉田:けっこう柔らかい動きをするということを木村秀則さんがおっしゃっていました。父のヘニーヒューズですが、産駒も芝での勝ち馬は出ていますし、アジアエクスプレスとヘニーハウンドが芝重賞の勝ち馬なので、もしかしたらこの馬も芝でもいけるのではないかという期待もしています。ですから、芝でも安定して結果を出せる馬なんじゃないかとつい期待してしまうんですが、高柳先生の印象としてはいかがでしょうか?
高柳:私の印象では現時点ではおそらくダートに適性があるんじゃないかと思います。もちろん入厩後見ていく中で決めていくことではありますが。ただ馬体が急激に変わってきたのはいいですね。
吉田:そうですね。夏あたりから急に。
高柳:こんな早い時期じゃなくてもいいですが、どこかでちょっと変わるのか見ていたところはありました。──正直少し前まで「大丈夫かな」と思っていたので、変われたのはよかったと思います。
吉田:ここからよくなってきて、さらに成長してくれば・・・。
高柳:どこかで変わる馬っていいですよね。レフィナーダ’15のようにいいほうに変わる馬。
吉田:先々さらに期待できるということですね。
高柳:そういえば、エンパイアブルーは今どうしてるのですか?
中村:左後肢の脛骨に骨膜が出て、長めの放牧中なんです。
高柳:あら。あれは1800mでしたよね、勝ったのは。
中村:そうです。1800ダートで、けっこういいタイムで勝った(阪神ダート1800mで1.50.8。馬場状態不良)んです。「これはいけるかな」という雰囲気が感じられたんですが。
高柳:エンパイア(メーカー産駒)だし、成長などが遅かったんだと思いますけど。
中村:高柳厩舎にも1頭エンパイアメーカー産駒がいますが、どうなんですか、エンパイアメーカー産駒って、ちょっと気が悪いって聞きますけど。
高柳:うちのはおとなしいですよ。事情があってタマをとっていますけど、元から大人しかったです。系統がどうこうというのはよく知っているんですが、うちのは大丈夫でした。
中村:レフィナーダ‘15 は父がヘニーヒューズに変わって、どうですかね。
高柳:馬体の見た目がよくなったので、安心したんですけどね。
中村:そうですよね。最初はおっしゃっていましたね。
高柳:ヒョロっとしていてね。どうなるのかなって。だって、他のセリ場で見ているヘニーヒューズは、もうその時点で、1歳の夏でけっこう見栄えがしていたので。
中村:どちらかと言うと、バキバキな感じですよね。
高柳:そのなかで、うちのはほっそりしていたから。(笑)今は変わってきたのでよかったです。
中村:先生はご覧になっていると思いますが、先週入って撮ってきた動画で、ざっくりしたものですけど、印象はいかがでしょうか?
高柳:(レフィナーダ‘15の歩き動画を見ながら)そうですね。まだまだ成長途上ですが、歩きも、木村さんのところで放されていたときとは全然違ってよくなったと思います。前はちょっとフラフラで、頼りなかった印象がありましたが、今はしっかりしてきたので、これからさらに良くなりそうだという感覚はあります。
中村:いい方向に変わっていますというところですかね。
高柳:これなら自信をもって売り出せると思いますね。もちろんレースの結果についてはわからないですが、馬だけ見た印象としてはこんな感じです。

中村:ありがとうございます。そう言っていただけますと心強いです。自信をもって会員の皆様にも薦めたいと思います。先生自身としては、バキバキの馬体の方が好みですか。
高柳:細い、小さいと、体調管理が大変なんです。やはり細くなってくるので、維持させるので精一杯になってくると、調教も控えていくし、続けて使えないだろうし。まあ、ある程度は体があるほうが、いろいろと楽ですよ。
中村:あまりガサのない牝馬よりは、しっかりした感じの・・・。
高柳:そのほうが楽なことは楽ですね。調整しやすいということです。
中村:たしかにそうですよね。牝馬とかで、あまり食べなかったりすると余計に・・・。
高柳:食べさせるのにすごくがんばっていて・・・。そんなにみんな食べないですから。毎日餌をどうするというのを、うちだと一人に作らせているので。あれを変えよう、これを変えようと試行錯誤しています。それでも食べないですけどね。でも、かなり調整はしていて、経験として積み重なっていると思うんですね。もちろん調教も(負荷を)控えたり上げたりしながらですけど。
中村:加減したりしないといけないとなると、満足に調整できないので、その分なかなか成績のほうにも・・・ということはありますものね。
高柳:細くなるとテンションも上がるという馬が多いですね。だいたい餌も食べないので悪循環が生まれます。
中村:そのあたりもあって最初はレフィナーダ‘15に対してそういう懸念があったということですね。今はもう大丈夫そうですかね。
高柳:大丈夫ですよ。今の映像では何キロぐらいあるのかな。
吉田:今で460キロぐらいです。
高柳:まだ大きくなると思いますよ。
吉田:この9月からのあいだぐらいで、20キロぐらい増えています。
高柳:そうですよね。放牧していて、制限していなくて21kg増えたと言っていたかな。放していて運動もしている中でのこの成長度合いなので、これはいいですね。
坂東の荒木一仁さんいわく「エンパイアブルーより筋肉量が多くて雰囲気がある」って。エンパイアブルーの育成は最初はどこか違うところだったと思いますが、この前こちらに来たときに「ちょっと管理したけど、俺はレフィナーダ‘15の方がいいと思う」と言っていたので。
中村:本当ですか。じゃあちょっと期待できそうですかね。
高柳:話を盛るわけじゃないですけど。(笑)たしかにそう言っていました。(私自身は)エンパイアブルーを見ていないのでなんとも言えないですが。
中村:おかげさまで、すごく売れている中の1頭なので、私どもも期待しています。引き続きまた、入りましたらお願いできればと思います。
吉田:よろしくお願いします。本日はどうもありがとうございました。
レフィナーダ'15(父:ヘニーヒューズ 母父:サンデーサイレンス)
販売総額:1,800万円 募集口数:2,000口
一口価格:9,000円
※新規・ステップアップ・継続特典の対象馬
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