archives
合田直弘のクラブ馬レコメンド【ミスフィアファクター'16編】


本馬の出自を見た時、強く思ったのは、なんとも玄人好みな外国産馬が日本に来ることになったものだという、その一念であった。

本馬が生産されたのは、フロリダのオカラにある名門牧場ノースウェスト・スタッドである。殿堂入りを果たしたプレシジョニスト、スーザンズガールの2頭を含めて、20世紀中盤から後半にかけて100頭以上のステークス勝ち馬を送り出した伝説の馬産家フレッド・フーパー氏の、フーパー・ファームの一部を引き継ぐ形で運営されているのがノースウェスト・スタッドだ。近在の生産牧場からも多数の活躍馬が出て、フロリダでも最も土壌が豊潤と言われるエリアに位置する。



大きな特徴の1つが、同じ組織の中にネルソンジョーンズ・トレーニングセンターという名称の育成部門を持つことで、近年では07年の全米最優秀短距離馬ミッドナイトルート、10年の全米最優秀2歳牝馬オウサムフェザ-、G1キングスピショップ勝ち馬で種牡馬としても大成功しているハードスパンらが、ネルソンジョーンズで育成されてトップの座に昇りつめた馬たちだ。生産から育成まで、しっかりとした組織の中で育まれているのがミスフィアファクター’16で、そういう馬をセレクトしているところが、まずは慧眼である。



父アンキャプチャードは、加国調教馬ながら米国の2歳重賞に2勝して加国最優秀2歳牡馬となり、なおかつ3歳時には加国における3歳3冠の1つプリンスオヴウェールズS(d9.5F)を制した活躍馬だ。母系にロベルトを持ち、なおかつヘイルトゥリーズンのインブリードを保持しているから、日本の競馬への高い適性を内包した血統構成である。



そして本馬は、G3オーシャンSを含めて5勝している現役のオープン馬エイシンブルズアイの半弟だから、母方からも高い競走能力と卓越した日本適性を継承しているはずだ。


外国産馬を持つなら、こういう馬を持ちたい。そんな要素にあふれた若駒と言えそうだ。
 
今回取り上げられた馬
(外)ミスフィアファクター'16 牝(父Uncaptured)