スワーヴリチャード産駒の快進撃は内国産種牡馬においては歴史的なものになっています。比較対象がサンデーサイレンスになっている時点で凄い事なのですが、スワーヴリチャードは繁殖牝馬に恵まれていない状況でここまでの結果を残しているという事が既に快挙です。スタッドインした経緯も順調なものではなく、怪我をしたために急遽種牡馬入りが決まりました。種牡馬展示会では脚を引きずりながら歩いていたくらいで、初年度の種付すら危ぶまれていましたが、初年度産駒が生まれると評価が一変しました。どの牧場でもスワーヴリチャード産駒は評価が高く、2歳を迎えるころには「動きが良い」「走るんじゃないか」と評価が更に上がりました。その評価通りの結果を出し続けているスワーヴリチャード産駒ですが、産駒の特徴として凡走が少ない事が挙げられます。どの調教師に訊いても「無駄な動きをしない」「精神的に落ち着いていて真面目に走る」とコメントが返ってきます。スワーヴリチャードは5代アウトブリードで生産されているために体質が強く、頭の良い仔を産むことが出来ます。夏の2歳戦に出走頭数が多いというのはそれだけ体質が強いという事ですし、勝ち上がり率が高いというのは競馬が上手でスピードを持っているという事です。

配合的な傾向を探るにはいささか早い時期ではありますが、ここまでの傾向としてはGiant's Causewayとの顔合わせが好成績を残しています。スワーヴリチャード×Giant's Causewayのヴェロキラプトルが野路菊Sを勝ち2戦2勝。同じくクラークテソーロも2戦目で勝ち上がり、スワーヴリチャード×Shamardal(父Giant's Causeway)のドナヴィーナスも勝ち上がって小倉2歳S(G3)に駒を進めました。

本馬の配合もスワーヴリチャード×Giant's Causewayで生産されています。血統は超が付く名血です。祖母のRags to Richesはとんでもない名牝で、ケンタッキーオークス(G1)を4馬身差で圧勝すると、牡馬相手にベルモントS(G1)に向かいここも勝ってしまいます。牝馬がベルモントS(G1)を勝ったのは102年ぶりの快挙。しかも負かした相手が2年連続で年度代表馬に輝くCurlinという凄さ。兄もベルモントS(G1)を勝ったJazilで弟はピーターパンS(G2)を制したカジノドライヴ、4代母Blush With Prideのケンタッキーオークス馬。近親には今年2023年のベルモントS(G1)を勝ったArcangelo、一族には El Gran Senor、トライマイベスト、ザール、ピーピングフォーン 、アーモンドアイなど枚挙に暇がないほどの良血です。現在、スワーヴリチャード産駒の中でこの馬がもっとも良い血統であるというのは間違いありません。