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Racing Salon Vol. 7 生産を基盤とすること、広尾TCの信念を支える木村秀則氏と共に
20.01.07 - Racing Salon




米山
:木村社長、本日もパンサラッサの応援にかけつけて下さり、誠にありがとうございます。

 

木村氏:いえいえ、G1に生産馬が出れることは、感慨深いものがあり、ここにいなければならないという気持ちです。

 

米山:会員の皆様も同じ気持ちで、本日中山競馬場にいらっしゃってくれております。

 

木村氏:はい。会員の皆様が来場される度、愛馬に対する熱い思いを感じています。人気こそありませんが、それ以上にこのようなレースに出走出来ることが、会員の皆様の想いが叶ったのではないかと思っています。

 

米山:私も同感です。矢作厩舎の皆様も然り、やはり会員の皆様がいらっしゃってのことでありますので、常に感謝の気持ちを持っています。

 

木村氏:その気持ち、とても大切だと思います。これからも他のクラブにないサービスを米山社長には期待しています。

 

米山:はい、いつもチャレンジ精神をもって進みたいと思っています。

 

さて、本日は2頭の馬について、お話をお伺いしたいと思っています。

 

木村氏:何でもお聞き下さい。

 

米山:まずは、スイートマカロン 2018 牡(スピルバーグ)のお話しを伺わさせて下さい。





スイートマカロン' 18    尾関知人厩舎予定 牡2歳 鹿毛 2018.03.19生 新ひだか産
父:スピルバーグ 母:スイートマカロン (母の父:Tale of the Cat)

 

木村氏:スイートマカロンは長い間、私の牧場にいる馬の1頭です。競走馬の時は、気性が難しかったと聞いていましたが、今はすっかりお母さんになっています。コンスタントに走る馬を出しますし、グランソヴァールも一つ一つ階段を登っていっていると思います。

 

米山:確かにそうですね。

 

木村氏:初仔がデストリーライズで1つ勝ってもらうことが出来ました。やや前の出が硬い馬ではありましたが、競馬で勝つということはやはり勝てる能力があるのだと思っています。次の仔がゼロカラノキセキでしたね。父がキンシャサノキセキとなって、柔らかさが出てきた馬だと思います。500万も卒業出来るところまでいきましたからね。

 

米山:札幌でモレイラ騎手に騎乗してもらえたことも能力があったということですよね。

 

木村氏:私はそう思っています。その後、怪我に泣きましたが、その能力は仔に受け継がれると思っています。それからパワーバンドでした。決して弱い馬ではなかったのですが、化骨が上手くいかなかったかもしれません。

 

米山:3着まではきましたからね。

 

木村氏:中々全てが上手くいくということはないのですが、その次がグランソヴァールです。既に2勝を挙げています。そして、まだ上を目指せる馬だと思っています。(この対談の後に3勝目をあげました!)



 

米山:確かに、しっかりと走る馬を出していますね。

 

木村氏:はい。先日入厩したキャッツアイも、入厩前の動きはかなり良かったと聞いています。なので、これからのデビューが楽しみなんです。

 

米山:私は馬名が好きです!

 

木村氏:そこですか! でも良い名前ですよね。しっかりと成績を出して、牧場へ戻ってきて欲しいと思っています。
 




 

米山:その次が、本日お聞きしたい馬です。

 

木村氏:はい。姉のキャッツアイと比較すると、当歳時に見せていた身のこなしは姉より上だと思っています。筋肉も姉より柔らかく、しっかりと踏み込んで歩いていました。また、パドックで走る姿は、明らかに芝向きだったことを憶えています。

 

米山:坂東牧場へ行ってからも評判が良いと聞いています。

 

木村氏:あっ、そうですか!

 

米山:現在、馴致も終わり、気難しいところもなく、木村社長同様に、“芝向き”ではないかと言われるぐらい、素軽さを見せているようです。

 

木村氏:良かったです。良く、馬は当歳時の姿に戻る、と言われることがありますが、この仔の当歳時のシルエットは私の好みでもありました。これから楽しいですね。

 

米山:尾関調教師も、本馬を気に入ってくれているので、このまま挫折なくいって欲しいと思っています。

 

木村氏:はい、私もそう願います。生産を続けていく中で、無事に牧場に戻ってきて欲しい、という気持ちが一番です。この仔は、特に考えられた配合を施されているので、とんでもない爆発力がある、スイートマカロンの代表産駒になって欲しいとも思ってるんです。

 

米山:はい、特に配合については、色々な人達に、“これは面白いね”と言われます。

 

木村氏:やはり、Goofedを重複させていることと、この仔はスピルバーグを通じて、ディープインパクトの良いところが出ていると思います。なので、秘かに大きな期待を寄せているんです。

 

米山:そうなんですね! そのお言葉を聞けてなによりです。
さて、もう1頭なんですが、宜しいですか?

 

木村氏:ゼロカラノキセキの初仔ですね?
 




ゼロカラノキセキ' 19  美浦 尾関知人 厩舎予定 牡1歳 黒鹿毛 2019.03.29生 新ひだか産
父:マジェスティックウォリアー 母:ゼロカラノキセキ (母の父:キンシャサノキセキ)



米山:はい、そうです。

 

木村氏:正直、初仔はどうだろうかという気持ちもあったんですが、この仔を見てゼロカラノキセキの繁殖としての能力は相当なものかなと感じています。

 

米山:どのようにですか?

 

木村氏:もちろん、初仔なので、小ぶりではあるのですが、骨量も十分で、筋肉の質も良く、必要な個所に筋肉がしっかりとついています。一番のところは、歩きにブレがないところでしょうか。

 

米山:スピードはどうですか?

 

木村氏:それが放牧地で魅せるスピードは際立ってるんですよ。それでいて、体質が強いんです。

 

米山:大物ですか?

 

木村氏:ゆくゆくは更に大物感が出てくるのではないかと思っています。

 

米山:父のマジェスティックウォリアーの影響も出ていますか?

 

木村氏:新種牡馬ですが、しっかりと結果を出していますし、その点も心強いと思っています。特に、ダート種馬界は戦国時代です。この仔の父がトップになることもあるのではないかと思っています。

 

米山:本馬もまた尾関調教師なんです。

 

木村氏:そうですよね。牧場に来られる度に笑顔を見せてくれます。良いサインですよね。

 

米山:近況はどうですか?

 

木村氏:先程も言いましたが、ブレがないところ、雨の中でもスピードも落とさず走れるんですよ。

 

米山:芯がしっかりしているということは素晴らしいですよね。

 

木村氏:はい、これは考えられた配合がされている証拠だと思います。

 

米山:広尾TCの基本は生産です。いかにスーパーホースを生産するか、そこなんです。

 

木村氏:続けることが最大の力になると思います。
 


米山:クレッシェンドラヴもそうですが、徐々に力をつけていき、古馬になっても活躍できる馬を生産することを目指しています。クラシックレースもそうなのですが、やはり力だけではなく、運も必要とされ、競争率がかなり高い中で勝つことの難しさ、痛感しています。

 

木村氏:理解出来ます。誰もがダービーを勝ちたいと思っていますが、やはり無事でいてくれること、そこが一番で、世代を超えて強い馬を作ることだと思います。

 

米山:はい、広尾TCはそこを目指しています。

 

木村氏:2020年も一緒に切磋琢磨して、強い馬を作ることを目指しましょう。

 

米山:はい、来年も宜しくお願い致します!

 

木村氏::はい、本日のパンサラッサもそうですが、来年も全力で応援させていただきます。(この対談後に、パンサラッサは6着と見せ場十分の競馬を魅せてくれました)

 

米山:ありがとうございます!