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水野由加里と棟広良隆の広尾っ仔REVIEW Vol.13



水野由加里:
ご無沙汰しております。本コーナー、6か月の休み明けとなります。

棟広良隆:ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、大きなケガをしてしまい、東京に来ることができなくて、グリーンチャンネル含め東京に来る仕事は全部キャンセルして、休んでいたので、伸びてしまいました。すみませんでした。

水野:外的な要因のけがで、内臓ではないですから、みなさんそこまで深刻に考えなくていい、快復傾向にあるということですね。

棟広:これから悪くなることはないです。速度はどうなるかわかりませんが、快復傾向にはあるということですね。

水野:何よりそれがよかったです。

棟広:本当にそうですね。



水野:5か月ぶりということで、出走数を重ねている馬もいますので、一走一走を振り返るよりは、総体的に見ていきたいと思います。

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水野:まずはエルカミーノレアルです。前走の4月30日邁進特別では、久しぶりの二桁着順となりました。これは枠番が2番、内のほうで、それが影響したのでしょうか。

棟広:そうですね。あとは、やはり詰まってしまって、脚を余したという話です。今回が直線競馬2回目の経験で、初回が18番枠、最高の枠を引いて、完璧なレースぶりながら着差はわずかでしたが負けてしまったことを考えると、直線競馬よりもコーナーのある競馬のほうが適性は高いと思ったので、ここまで崩れたのは残念です。
ぼくはこのレースの前の短評で、「そんなに人気ほどは・・・」と書いたんです。ゲートももちろんありますが、直線競馬よりはコーナーのある競馬のほうがいいと思いますね。勝ち味に遅い部分はたしかにありますが、コーナーのある競馬で、1200の距離で、内目で脚をためて直線で抜け出してくるというかたちです。あわよくばパーンと抜け出して勝利というのももちろんあっていいと思いますが、2着、3着を続ける競馬で賞金を稼ぐのがいいと思いますね。

水野:次は予定としては──。

棟広:コーナーのある競馬に行きますね。

水野:京都の芝1200m。

棟広:そうです。やはり内枠を引きたいですね。1200の競馬でも、唯一二桁枠順を引いた11番のときに4着に崩れている。この阪神のときは脚を余しています。これも馬群を抜け出せなくて脚を余しているので仕方ないですが、外、外を回るかたちになって不利なく4着でした。そのあとの2着と3着の競馬は、両方1番ゲートです。最内枠からうまく抜けてきて2着、3着。最後は負けていますが、内でしっかりと脚をためて、直線を抜けての2着という安定した競馬っぷりは評価できると思います。ですから、やはり京都でも内枠を引いてほしいですね。


水野:続いてゴッドフロアーは、この5か月ほどのあいだに4走しています。前走の春光ステークスでは、およそ2年ぶりぐらいでしょうか、ダートを走りましたが、変わり身というのは見せられませんでしたね。

棟広:芝で頭打ちに近い結果続きだったので、結果が出なかったのは残念でしたが、ダートを試すことは意義があると思います。もしこれで結果が出たらダート路線に戻ることができるし、出なかったからもう1回芝に戻すという路線の指針になるので、この結果自体は残念ですが、新しい条件にトライしていくことは大事だったと思います。
いい位置につけていました。芝よりも行きっぷりがよかったという面は、「おっ」と思ったんですけどね。見ているとき「これはダート行けるんちゃうか」と思いましたが、最後は伸びきれなかったというところを見ると──これはもう一度芝に戻るでしょう。

棟広:ただ、芝の長距離というのが、あまり鞍がないですね。

水野:そうですね。あと1か月半ほどすれば北海道開催が始まりますが、そのあいだにレースを選ぶのか、待つのか……。

棟広:夏の競馬というのは、基本的に準オープンは少ないですからね。
ジョッキーは「ダート自体があまりよくない」と言っていますから、願わくば洋芝の、時計のかかる重い芝ですよね。重い芝の長距離という舞台は数が少ないですが、前走のダートで結果が出なかったことで、ジョッキーが「ダート自体がよくない」とコメントしていますから、数は少ないですがそこを狙っていくしかないですね。やはり距離は長ければ長いほどいいと思うし、芝は重ければ重いほうがいいと思います。


水野:続いてシャトルアップです。2走していて、5月7日の駿風ステークスで16着。これまた新潟の直線で最内枠だったんですね。加えて雨もありました。

棟広:これまでの成績から、直線の千芝がベストということは明らかです。1,000万以下で勝ったときはスピードに任せてそのまま押し切りましたが、準オープンで田辺裕信騎手が4着に来たときの乗り方がすごく印象的でした。これまでこのクラスでも、前走は16着で負けましたが、テンのスピードは見せています。ただし、このクラスでは、テンを活かすよりも、前半はためて、おしまいにかけて着を上げていく競馬のほうが間違いなくいいと思います。テンに行くとバテバテになったときに賞金がいっさい稼げませんからね。田辺騎手が4着にもってきたときの乗り方はうまかったんです。前半ためて、頭数は少なかったですが、その乗り方をしてほしいですね。

水野:今回は、休み明けということも少しは響いていますよね。

棟広:たしかにあったと思います。

水野:次走は5月22日、また新潟の韋駄天ステークスを予定されています。

棟広:次は格上挑戦でしょう。メンバーが強くなっていけばいくほど、追いに活かす競馬、着を拾う競馬をしてほしいと思います。テンのスピード争いは、上に行けば行くほど、もっと速い馬がいっぱいいますから。それでも着いていけるスピードはありますが、おしまいがもたなかったら、賞金面では大負けになってしまいます。差して何頭かわせるかという競馬のほうが絶対にいいと思います。


水野:次にジョーヌドールです。こちらも2走していますが、年末に中京のダート1900mで12着。このときどうも息づかいが悪いということで、4か月ぶりの4月9日の福島では1ハロン短縮してダート1700mに出走したのですが、こちらも「息が続いていない」というジョッキーのコメントがありました。次走に芝が検討されていますね。
芝は過去に2走していますが、いずれも二桁着順という結果です。久々の芝になって、どういう結果が出せるかというのが……。

棟広:たしかにね。ダート1700という距離は短いと思いますが、1900の距離でも、他の面に問題があったとは言え成績が上がっていない現状なので、血統的にはやはり芝血統なので……。苦渋ですけれどもね。かなり厳しいなかでの選択になってきていますが、芝で使ってみるのは一つの案だと思います。
千四と千八ということですが、1400であれば内回りになる。千八だったら外回りで、距離が長いのは好感を持っていますが、速い上がりを要求されるとどうかという外回りコースになるので、内回りコースは魅力的かなと思います。

水野:これがラスト・ランになるかもしれないのですよね。

棟広:ラスト・ランになるなら、最後に芝を試してもいいんじゃないかと思います。


水野:そうですね。だったらまた短い距離のほうがいいのかなという気はします。
続いてゼロカラノキセキです。デビュー戦が4月24日の福島、1150mでデビューして9着でしたが、2走目が5月8日の東京のダートのマイル戦に出走して、首差の2着。

棟広:初戦は、着順自体は9着でしたが、前半はついていけなかったんですけど、メンバー中最速の上がりを使っていました。2走目で距離が伸びて、前半の行きっぷりもかなりよかったですし、2走目で本当にガラッと変わりましたね。
負けてしまったのは惜しかったですが、この1分39秒0という時計はなかなか速いです。同じ週の500万のレースに入っても6着に相当する時計なんですよ。ですから、これはもう次に決めてほしいです。

水野:距離はこのままマイル戦が……。

棟広:本当の適性がどこにあるかというと、もう少し短いところかもしれないとは思います。でも、未勝利を勝つ、まず一つ勝つという意味では、今回好走した東京千六に引き続いて出してもいいんじゃないでしょうか。次走が東京千六、牝馬限定に出るということなので、それでいいと思います。

私がプロデュースさせていただいた募集ですが、本当に2走目で大きく変わってくれてうれしいですね。状態面がどうかみたいな心配がありましたが、先生は自信を持ってはったみたいですしね。負けてしまいましたが、3着以下を大きく離していますし、走破時計が何よりよかった。もう次はメンバー次第で勝ち負けというところですね。
あとは脚下に少し問題があるということなので、それを何とか乗り越えてほしい。ぜひ勝利をもたらしてもらいたいですね。


水野:続いてデストリーライズです。これもけっこう走っていて、5戦走っています。ゼロカラノキセキのお兄さんですね。

棟広:5走していますが、2走目の阪神は、コーナーが四つある競馬場でした。これまでは直線のなかで東京でこその馬だったじゃないですか。ただし、東京だったらダートが軽いから、上がりが速くなりすぎて届かない。直線が長いのはうれしいけど上がりが速くなりすぎるという悩ましい面があったので、コーナー四つの競馬場で好走できるかどうかが一番のポイントでしたが、この阪神の5着はいい5着でしたよね。今後が明るくなる5着です。阪神とか中山のほうが東京よりもダートの砂質は重いので、砂質が重くなることによって上がりがかかり、差し込みやすい。コーナーも四つあっても問題なかったので、この5着は明るい5着です。
その次のレースは、これは松岡正海ジョッキーが積極的にまくって、14、14、6、6という通過順位で見てもらったらわかりますが、かなり強気の競馬をしてしまった。力的には、そこまでは強引すぎたかなと思いましたけどね。そのあとの2着は、これはあってよかった巻き返しだったと思います。
前々走は、やっぱり重馬場。パサパサの良馬場がいいですね。そして前走の川崎競馬は湿ったダートになっていまったのが残念でした。パサパサの良馬場のダートになったら巻き返してくるはずです。
重いダートでは、500万クラスではもう目処が立っているということは、はっきり言えると思います。


水野:続いてドゥオーモです。3走していて、新馬戦には間に合わず、既走馬相手の未勝利戦でのデビューとなりました。スタートで少し出遅れましたが、大外一気で33秒8の脚。

棟広:これは爽快でしたよね。

水野:ねぇ! さすがディープの子という感じでしたね。

棟広:走破時計は遅かったですが、それは道中のペースが遅かったからで、逆にその遅いペースのなか、後方からあの上がり33秒8というのは、本当に爽快な決め手だったと思います。

水野:最後まで追われてはいなかったですしね。本当に快勝というスタートを切ってくれました。続く2走目アザレア賞では、ダービーを意識したのかなということで、1800から2400に延長しての一戦でしたが……。

棟広:いきなりのここまでの距離延長と、加えて、最後のクラシックに間に合うかどうかというギリギリのところだったので、レース間隔も詰めたじゃないですか。やはり状態面も距離も、両方が敗因だったと思います。もう1回1800mに距離を戻して、3着でしたが内容は良化していますよね。まだトモなどが弱い部分があるということなので、勝ちきることはできませんでしたが、それでも使った上がりは33秒4ですから。このレースも、かなりのスローペースでした。それを後方から3着まで押し上げてきた脚は、本物だと思います。このクラスでは脚は決め手上位なので、今回ソエということもあって放牧に出されるようですが、全体の成長を促す意味でもこれは好感を持てます。まだ詰めてレースに使わないほうがいいかもしれないですね。


水野:続いてハナズレガシーです。3走していて、今年2月にデビューしてから、全3走で引退です。3走目の着差が7秒以上あって、出走制限等のことを考えたら今後が難しいという結果となりました。

棟広:芝のほうが合っているんじゃないかということで芝からスタート、デビューしたわけですが、やはり1戦ごとに着差が拡がっていっている現状というのは……。新馬戦は基本的にペースが遅くなるので着差がつきづらいのですが、そこで1.8秒差とちぎられて、そのあとどんどん着差が拡がっていっているというのは、やはり仕方ないですよね。
これをオークションで買われた方は、短距離のダートに適性があるんじゃないかというところを見られたらしいですね。広尾所属馬ではありませんが、卒業生として地方でまた活躍をしてもらいたいものです。


水野:続いてハナズレジェンドです。こちらも全3走ですね。2着、2着、3着と能力を見せていますが、スタートやコース取りの差、あと前走では目の前の馬が故障というハプニングがあって、すんでのところで避けられましたが、ちょっと恵まれていない状況が……。

棟広:運がないですね。運がないけど、前走で何も大事にならなかったということは、運がないけどそれが幸運とも思えますからね。

水野:そうですね、本当に。

棟広:初戦は不良馬場で「もうノメって仕方なかった」という川田将雅騎手のコメントですから、逆にそれであそこまで走るのかという話です。2戦目は2000mの内回りコースですからね。外枠を引いて、終始だいぶ外を回らされましたから、勝ち馬との差は完全にコース取りの差です。3走目は大きな不利が向こう正面にあって、むしろそれで大事に至らなくてよかったという面があります。不運ですが、何もなかったのは不幸中の幸いということで、立て直されたらあっさり勝つでしょう。

水野:そうですね。次は北海道開催からの始動の予定とうかがっているので、今度は洋芝適性という壁もまた……。

棟広:この馬は重い芝のほうがいいと思います。洋芝はむしろ歓迎できます。

水野:それは楽しみです。今度は何事もなく実力を発揮してくれるレースを期待したいですね。

棟広:むしろダートもいいんじゃないかという話が出ているくらいです。個人的には初めてダートを走るときに馬券勝負しようと思っていますけどね。(笑)

水野:そうなんですか。次あっさり勝っちゃったら……。

棟広:それはもっと先になるんじゃないですか。

水野:そうですね。好成績を収めているので、ダートがわりするのは陣営と馬主になかなかの決断が強いられますね。

棟広:そう思っているくらいなので、北海道の洋芝を苦にすることはほぼないと思います。


水野:心強いです。
続いてベイビーティンクですが、3走しています。全4走の成績ですが、見ていると雨が苦手なんだなとわかりますね。

棟広:そうですね。ダートを初めて走った小倉の1700mのダートが重馬場で締まったダートで、そのあと阪神の良馬場の重いダートで10着から5着。軽いダートから重いダートになって10着から5着に成績を上げて、その次にまた湿った軽いダートで15着に成績を下げているので、この馬の適性ははっきりしています。デストリーライズとまったく一緒です。パサパサの重いダートが合っている。その意味では、雨とか天候に左右される面がありますが……。

水野:そうですね。でも、こればっかりはタイミングとしたいいようがないので……。

棟広:とりあえず一つ勝っておきたい時期に入ってきているじゃないですか。ですから、交流が混む前に、関西圏ですから園田とか佐賀とか。地方競馬のダートは、阪神や中央のダートよりもさらに重いのです。園田や佐賀に行けば、メンバーはレベルも下がりますし、砂質も阪神よりもさらに重くなるので、この馬が求めているものがあると思います。そこで早くまず1勝してほしいと思います。

水野:これから梅雨に入ろうしているじゃないですか。

棟広:そうなんですよ。それは本当に痛いところなので。

水野:園田となると、もう入ってくるかなという時期ですから……。

棟広:ぜひ検討していただきたいですね。


水野:続いてはポノイです。2月27日に、この馬自身2走目になるレースに出走して、このときは芝の1800mからダートの1800mに条件が変わりました。いろいろ条件変わりがあって、去勢あけ、そして4か月ぶりで初ダートとハードルがいろいろありましたが、結果が7秒3離された16着で……。

棟広:そうですね……。前半からの行きっぷりを見ても、芝からダートに変えてもまったく変化がなかったですし、どんどん馬群から置いていかれる。単純にやはりスピードが足りないんですよね。去勢して体重を減らしてとか、いろいろ試みられてのこの成績ですから、これは抹消も仕方ないかなと思いますね。

水野:2走続けてのタイム・オーバーでしたしね。ただ、お母さんのグレイスフルソングも晩成型で、なかなか勝ちきれなかったのを見ていると、「これぐらいのタイム・オーバーでなければ、何とかもうちょっと…」と思いましたけどね。


引退後は乗馬になるとのことです。
そしてマカハです。マカハは4走していて、前走が晩春ステークス、久しぶりに十八番コースでのレースとなりまして、クビ差2着という成績でした。

棟広:まずダートに使われたというところに触れたいと思います。ダートに久しぶりに戻ってきて、過去のダートは1800mの距離でしたから、適距離の1400mのダートを試されたいということで、そこでまず3着しました。これはなかなか、「おっ」という3着でしたよね。
そのあと崩れてしまいましたが、走破時計を見てもらうと、同じ時計で走っている。ですから、やはりメンバー・レベル、もしくはダートでは時計の限界があることを示していると思います。そのあともう1回芝に戻ってきて、中山での3着は驚きましたね。たしかにこのレース、差し馬に流れが向いたということは言えましたが、それでもこの3着にはちょっと驚きました。

水野:1600mということですしね。

棟広:その次の東京千四での2着は、やはりさすがだなと思いました。

水野:そうですね。さすがと言えど、あの32秒7の脚というのは、すごかったですね!

棟広:すごいですね。ダートも走っているし、中山1600mもこなしていろいろ走っていますが、やはりこの馬は東京の千四がベストだなと思います。

水野:それだけに、レースの仕方があの馬自身のオーソドックスで、そこから外せないのがもったいないところではありますが、崩れないからそれでいいんじゃないかとも……。

棟広:惜しいと言えば本当に惜しいですが、準オープンの2着、3着は賞金がすごいですからね。1億2,500万円を超えたでしょう。すごいじゃないですか。言い方は悪いですけど、このまま2、3着でも、すごくいい馬ですよ。

水野:賞金の面においてはポンと上がってしまって、クラスに慣れるまで時間があるのならばという考えですね。

棟広:あとは、上に行ってしまうと除外になる可能性があるんですよね。出走が叶わない可能性がある。

水野:それに、上にポーンと上がったとき──あのマカハが7歳なんですよね。もう7歳かって、月日の流れが身にしみたんですけど。(笑)7歳となると、ずっとこのままこういうレースでこういう着順でというわけにもいかないという考えもありますから。ただ、心情的にはやっぱりオープン馬になって重賞を狙って欲しいですね。

棟広:本当にすばらしい馬ですよ。だって、この5か月のあいだに4走して、準オープンで3着、3着、2着があるわけでしょう。これだけの賞金はすごいですよ。2着でも500万条件1勝の価値がありますからね。すばらしいです。

水野:マカハの次走は……。

棟広:これはまた東京1400mです。

水野:そうですね。5月22日。

棟広:期待できると思います。心強いです。

水野:でも、やっぱり大外なんですね。中とかそういう選択はなく、やはり大外から来るんですね。その分もったいないけど……。

棟広:コース・ロスがありますが、やはり馬群を縫う競馬よりは外に出して伸びるのが、この馬の特性です。


水野:そうですね。でも、レースが後方からで大外とこれだけ決まっていれば、乗るほうからしても、やりやすいと言えばやりやすいですよね。
続いてマグナムインパクトですが、3月19日、阪神のダート1800mの新馬戦に出走して3着。0秒7差でしたが、この馬は大きかったですね。528kg。(笑)

棟広:たしかに。(笑)ジョッキーはうまく乗ってくれたと思います。体が大きすぎることで脚下に少し心配があったので、攻め馬で攻めきれない、調教で攻めきることができなかった。そういうゆるさが残った状態で、しかもやはり芝のほうがいい。負けた理由としてはいろいろ挙げられますが、それでもジョッキーはうまく乗って、好内容を示してくれたと思います。何より脚下がだいじょうぶになってきているというのが、心強いところです。

水野:体のゆるさというのもありますから、使いつつ成績は……という感じですかね。

棟広:そうですね。デビュー前に気になっていた脚下の心配がなくなっていることは、かなり大きな好材料だと思います。この馬は能力的に高いと思うのでね。もし脚下に心配がなくて芝に使えるのであれば、スタンバイOKの状態なら即勝利が見えてくるんじゃないでしょうか。

水野:「脚下の心配はない」という陣営からのコメントですが、目標レースは定めずに、状態を見ながらやっていくということですね。

棟広:そうですね。


水野:続いてルックオブラヴです。1月17日に中山の芝2000mでデビューして、8着で0.8秒差です。このあとから装蹄療法が中間とられているようですね。

棟広:近況によると、熱感がとれないらしく、脚下への負担を軽減するために蹄の形を馬に合わせて少し負担を和らげているみたいですね。
レースについては初戦は、8着と着順は地味ですが、内容は本当に悪くなかった。外から一瞬グッと伸びかけましたからね。この8着は、レースを見たあと、「あぁ、この馬はなんとかなってくれる」と思ったぐらいです。ですから、脚下の問題を解消して早く出てきてほしいですね。

水野:松岡正海騎手からも、「2000mという距離も問題ない」ということですし、「あとはレースで成長を促していけばいいのでは」というコメントが出ていますから、爪の装蹄療法が功を奏して次のレースに出られるようになれば。あまりゆっくりもできないので、がんばってほしいなと思います。

棟広:ジョッキーが「パワー・タイプではありません」と言っていて、初戦は中山でしたが、東京の軽い芝で切れるところをもしかしたら見せてくれるかもしれないと思うので、そちらも楽しみなんですよね。

水野:こちらも次走は予定されていないということです。

棟広:これはまだ入厩はしていない。外でやっていますね。


水野:以上で出走した広尾っ仔のレビューは終わりですが、広尾っ仔の中でデビューが近い2歳馬について、紹介したいと思います。
まず、私と仲間になりませんかというステラバレット。(笑)あと17口しかないですが。

棟広:はじめに、去年はデビューするのに時間がかかった馬が多くて苦労したというのが、全体的に見ての感想です。これは早くしたいから早くできるものではもちろんないでしょう。馬の状態、成長があってのデビューなので、そういうことは言えませんが、今年は全体を見て早そうだというのが、まず喜ばしいことだなと思います。

水野:そうですね。走れる状態にあることが大事ですものね。

棟広:馬が何頭も、複数いるというのは、本当に喜ばしいことだと思います。
ステラバレットは淡路島にいますから、早く入厩してもらいたいと思います。森秀行調教師は基本的に馬を早く使いだす印象があるので、これもそんなに時間がかからないでしょう。
森先生も、440kgを超えてきたので、「もう負荷をかけられるわ」ということで、早めをいま取り入れていて、それも問題なくクリアしているらしいので。
残念なのは、POGの記者は淡路島には行かないんですよね。(笑)

水野:なかなかね。棟広さんは行かれたんですよね。

棟広:はい。重賞を勝っている馬の初仔やから、POG本に載ってもいいんですけどね。しかもそれでエピファネイアと同配合なので、絶対に載らないとおかしい馬なんですけどね。しかもそれでデビューが早いと言ったら、もう間違いないでしょう。

水野:そうですよね。お母さんを見れば早熟なので、早めにデビューできるならもってこいですが。

棟広:ペーパー向きですからね。

水野:こちらが17口か、それより少ないかという状況です。

棟広:水野さんが一緒に応援しましょうということですね。(笑)

水野:はい。広尾の会員さんはステラリードを持っていた方も多いので、そういう意味でも、同じ血統で娘、孫というように持つ方は多いと思います。


棟広:デビュー戦ツアーはやるんでしょうか。
前回は水野さんの幻と消えたエンパイアブルー……。(笑)

水野:それこそツキがないという感じでしたね。(笑)次走でデビュー戦を勝利しましたが、まもなく帰ってくるとのことなので楽しみにしています。
次にご紹介するのはコンフォルツァですね。コンフォルツァは10日朝出発したようで、今11日朝には吉澤ステーブルEASTに着いたそうです。

棟広:これは先生もかなり評価が高いですし、本当に順調で、もう本州に来ているというのは喜ばしいですよね。これも残口わずかです。

堀:これまでみたいにギリギリ15-15をこなしていったという感じではなくて、この仔は余裕をもって14-14とやっているらしいので。

棟広:ポノイがあかんかったのは、馬体が大きくなりすぎて、基礎調教の面で苦労していました。この馬はそんな面もいっさいなく、順調に来ているのは喜ばしいことですね。ポノイがギリギリ15-15をこなしていたのに対して、この仔は余裕をもって14-14とやっています。



水野:満口直前のハニートリップはどうですか。。

棟広:この馬は急ぐというか、早い組じゃないかもしれないけれども、吉澤ステーブルでの評価が相当高くて、ペーパーオーナーの本で大きく取り上げられていました。
たしかに、ストレイトガールの下ですからね。これは本当に急ぐ必要はいっさいない。ストレイトガール自体だって、4歳の夏に500万勝ったとかでしょう。そこから連勝だから。逆にゆっくりのほうがというか、まだまだよくなってくるだろうし。でも逆に言うと、いまの段階で評価が高いというのは、相当楽しみな面はあるんじゃないでしょうかね。


水野:棟広さんはアタラマ’14が熱いんじゃないんですか。netkeibaのコラムでもアタラマ’14について記事を書かれてましたね。

棟広:清水久詞教師のところにインタビューに初めて行ったんです。もともといい厩舎だなと思って外から見ていたので、そういった意味でも、厩舎もいいし、即戦力候補としてもちろん、楽しみですよね。
あそこで持ち乗りしている黒岩悠というジョッキーがいますが、彼とはプライベートでつきあいがあるんです。キタサンブラックも、全部彼が乗るんです。最終調教で彼がすべて乗るので、彼も入れてのインタビューをしたんです。
今週森本スティーブルに来場した清水久詞教師によるとどんどん体が出来てきているからこのまま数本北海道で乗り込んで、そこからの移動みたいですね。
小倉競馬だと7月ですから6月あたりの入厩になりそうですね。


水野:あと、小崎憲先生のお気に入りのマジェスティックブライト’14

棟広:この馬もゆっくり気味だと思いますが、それでいいと思います。見た人の複数が、「ちょっと秘めているものがありそうやな」というジャッジをしています。一人が言っているわけじゃなくて、複数違った人が見て「ちょっと何かありそうですね」と感じる人が多いみたいで、そのあたりが楽しみですね。

水野:「秋のデビューに向けて」というのは、かなりの自信がうかがえますよね。

棟広:たしかに。年が明けて3歳になってからデビューする馬もたくさんいますが、陣営としては、遅くとも秋には、年内にはデビューさせてというのがやはり理想です。ですから、「秋に向けてゆっくりと」と書いていますが、秋にデビューできれば、これはもう順調そのものだと思います。

水野:先月末にも優駿の取材があったようです。

棟広:グランデファームの衣斐さんはみなさん夏を超えて北海道でトレーニングしないというのはもったいないと言っています。
BTCは夏こそ一番使ったほうがいい場所なんです。涼しいし設備も大きい。ですから、それを試したいと言っておられました。おもしろいですよね。


水野:あとはBijoux Miss’14とクレッシェンドラヴ、そしてディメンシオンですね。

棟広:Bijoux Miss’14はこちらに来て、いまファンタストクラブ木村牧場にいます。二ノ宮敬宇先生もつい先日馬を見に行かれたようです。

水野:どうですか。海外育ちは何か違う感覚が……。

棟広:「うまい人に調教をつけてもらっていたな」と先生からはコメントがあったようです。


水野:まずは無事に日本に来られてよかったと思います。楽しみです。
同じくファンタストクラブ内木村牧場のクレッシェンドラヴはどうですか?

棟広:二ノ宮敬宇厩舎の数いるステイゴールド産駒の中でも一番の評価でしょうし、現時点でも動けていますし、楽しみな存在ではないでしょうか。

水野:それからディメンシオン。「内面からの充実を促進」を図っているようですね。

棟広:この馬には、本当にエタンダール超えを期待しています。


水野:いま広尾っ仔のデビュー戦を迎えた馬たちが、かなりいい成績で来ていて、それに加えて早めのスタートが切れそうだというラインナップも揃っていますし、それ以上の先輩たちもいい成績を収めてくれていますから、楽しみな春・夏となりそうです。

それでは、以上で広尾おっ仔REVIEWを終了いたします。ありがとうございました。

棟広:ありがとうございました!