ゴールドシップはステイゴールド×メジロマックイーンの黄金配合が注目されていましたが、元々は下総御料牧場が100年近く前に輸入した星旗に遡る名門血統の出身です。下総御料牧場や小岩井牧場が戦前に輸入した基幹牝馬から、たくさんの活躍馬が輩出されているのは有名な話ですが、近代競馬においてもその優秀さが示されているというのは凄いことですし、サラブレッドは牝系で走ることを痛感させられた馬でもあります。ゴールドシップの母はポイントフラッグですが、馬名に旗が付いているのも下総血統を引き継いでいるという誇りを感じさせてくれます。本馬の母クエストフォーワンダーの叔父には英ダービー、愛ダービー、凱旋門賞、愛ナショナルSを勝ったSinndarがいます。Sinndarはフランスの天才馬産家マルセル・ブサックが築きあげた牝系を見事に再生した名馬ですので、下総御料牧場とマルセル・ブサックの血統が顔を合わせているというだけでも魅力的ですし、ステイゴールド×メジロマックイーンという社台ファームの基幹牝馬ロイヤルサッシュと、名門メジロ牧場の最高傑作といえるメジロマックイーンの顔合わせまで融合していて、馬産職人達の知恵と技術が詰まった配合馬になっています。

メジロマックイーンの血統の中にはフランス血統も多く含まれていて、その中にもマルセル・ブサック血統は存在しています。メジロマックイーンの父メジロティターンはマルセル・ブサック血統のCalonice≒Panの4×3を所有して天皇賞を制しました。このCalonice≒Panと本馬の5代母Stoyanaは血統的に相似の関係にあります（Calonice≒Pan≒Stoyana）。距離適性は長距離になると思いますし、日本の近代競馬とはアンマッチな側面はありますが、嵌った時は天皇賞（春）や海外遠征まで夢を見れるデザインが施されているのは間違いないです。こういう選択も競馬の楽しさだと思います。